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◆細江の趣味 >  ◆両棲人間もくじ

アレクサンドル・ベリャーエフ 作
「両棲人間」

Александр Беляев
Человек-Амфибия

2023.10 全面改定いたしました。


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◆はじめに   ◆挿絵

◆第1章 海の悪魔
 
◆第2章 イルカに乗る者
 
◆第3章 ズリタの失敗
 
◆第4章 サルバトール博士
 
◆第5章 病気の孫娘
 
◆第6章 脅威の庭園
 
◆第7章 第三の壁
 
◆第8章 襲撃
 
◆第9章 両棲人間
 
◆第10章 イフチアンドルの一日
 
◆第11章 若い娘と浅黒い男
 
◆第12章 イフチアンドルの世話係
 
◆第13章 市街にて
 
◆第14章 海へ帰る
 
◆第15章 ちょっとした仕返し
 
◆第16章 焦るズリタ
 
◆第17章 不愉快な出会い
 
◆第18章 タコとの戦い
 
◆第19章 新しい友だち
 
◆第20章 旅路
 
◆第21章 こいつが海の悪魔だ!
 
◆第22章 全速前進
 
◆第23章 異様な囚人
 
◆第24章 捨てられたメドゥーサ号
 
◆第25章 沈没船
 
◆第26章 にわか親父
 
◆第27章 司法上における、この事件の取り扱いについて
 
◆第28章 天才的な狂人
 
◆第29章 被告は語る
 
◆第30章 拘置所
 
◆第31章 逃亡

細江のあとがき

2004.8
 まだ完全とは言いがたいけれど、一通り訳すことはできたと思います。
 大人になって既存の版を読み直したときの第一印象は、「ああ、この物語の主人公は、イフチアンドルではなくバルタザールなのだ」ということです。
 客観的に見ればイフチアンドルを主人公とした、彼をとりまく人々の物語といっていいでしょう。ただ私の立場が変ったために、もっとも感情移入したのが、バルタザールだったというわけです。
 そしてこうしてオリジナルから翻訳してみると、またひとつ印象がかわりました。
 これまでバルタザールがイフチアンドルの実の父で、サルバトール博士は彼の子どもをかっさらって改造したマッドサイエンティストという印象が強かったのですが、それがあやしくなってきたのです。
 既存の版は、サルバトール博士のまともな部分と、バルタザールの思い込みが激しい部分が、省略されていたように思います。
 バルタザールに関する描写が、イフチアンドルの実の父親ではないかという疑惑への伏線になっていることや、この疑惑は最後までぬぐえないことは確かなのですが、サルバトール博士に関する描写を読むと、彼が他人の赤ん坊を実験に使うような人物かどうか? それが可能であったかどうか? という点があやしくなってきたのです。絶対にそんなことはしない、と言いきれないのがなんとも。
 しかし大切なのは、サルバトール博士もバルタザールもイフチアンドルを息子として愛していたことであり、そしてバルタザールにとっては、どのような検証を重ねてどのような結論が出ようともイフチアンドルは息子であり、そしてただ一人取り残されてしまった、ということではないかと思うのです。

 イフチアンドルがタコと戦うシーン、そして潜水して活躍するシーンのない潜水艇は、ベリャーエフがジュール・ベルヌのファンだったために入ったとして、よくわからないのが、オルセンが案外潜水がうまかったという件。だからこそイフチアンドルは彼だけを捕まえることができたわけですけど、どういう意味があったんでしょうね。
 それとなんでベリャーエフは、男連中についてはことこまかく描写するのに、ヒロインであるグッチエーレについては金髪で青い目としか書かないんでしょうね。読者に好きなように理想のヒロインを想像して欲しいからでしょうか?
 ただこの「金髪で青い目」というのだけなのに、ただ男はブロンドがお好き~とかじゃなくて、ただこれだけで彼女のややこしいバックグラウンドを暗示できてしまうことがすごいと思います。
 クリストーバルがどこで拾ってきたのかはわかりませんが、彼女はなぜ「金髪で青い目」に生まれつき、アラウカンのバルタザールに育てられることになったのか? ということです。
 いずれにしろ彼女は、ニューヨークでオルセンとなら、似合いの夫婦になれるでしょう。

2005.1.15
 ただ訳しただけ、ではなく、小説として成立することを目指して、手を加えました。

2020.5.22
 Kindle版のみ、誤字脱字を修正しました。

2020.6.6
 Kindle版・サイト版の誤字脱字を修正しました。

2023.10
 ちょっと誤訳を直すつもりが、誤訳が多すぎたので、全面改訂いたしました。
 翻訳サイトは、前回も今回も頼りっぱなしです。その精度も以前より格段に上がっています。翻訳サイトを作ってくださった皆様、ありがとうございます。