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(C)山北篤

第18章 スペオペヒーローズのプレイヤー

 スペオペヒーローズは、パターンを楽しむRPGです。子供の頃から見てきた、アニメやコミック・小説などで使われてきた定番ストーリーを、そのまま再現しようと言うシステムです。ですから、プレイヤーとして参加する場合も、そのつもりでプレイすると、大いに盛り上がりが期待できます。
 RPGのストーリー展開(それ以外のストーリーも含めて)の楽しみ方には、2つあると思います。1つは、予測できないストーリーの展開を楽しむものです。もう1つは、予想されたストーリー展開を楽しむものです。
 前者は、スリルとサスペンスを求めるストーリーです。ホラーや推理小説などで重要視されています。それに対し、後者は安心していつものストーリーを楽しむものです。水戸黄門や戦隊ヒーローものなどで重要視されています。
 ストーリーというものは、この2つの要素(予想できる展開と予想できない展開)が混じりあっています。予測できない展開を重視する推理小説だって、最後に犯人が明らかになるという点では、予想通りです。逆に、戦隊ヒーローものでも毎回新しいストーリーの工夫があります。
 予想できない展開のみからなるストーリーは訳が分からず、読者(やプレイヤー)がついて来れないでしょう。逆に、予想された展開のみからなるストーリーは退屈です。この2つの要素のバランスによって、ストーリーのイメージが変わってくるのです。
 スペオペヒーローズは、前者の要素も含んではいますが、特に後者を主に考えたRPGです。つまり、予想されたストーリーをなぞる楽しみをメインに作られています。
 最初の方では弱いものが虐げられて居たら「分かった。俺に任せておけ」と言って欲しいし、大悪人の前では、やはり「お前達を決して許さない」と叫んで欲しいのです。定番台詞に経験点が出るのも、そういうパターンの美学を楽しんで欲しいからです。
 また、主人公はストーリーの序盤では窮地に陥るべきだと考えます。「しまった、やられた」とか「ちくしょう、一体どこのどいつが、俺達をはめやがったんだ」などといった台詞が、序盤には似合います。ゲームマスターが、NHPを使って、PCの行為を失敗にするのも、上のような台詞を言ってもらうためなのです。安心してください。定番ストーリーでは、主人公はどんな窮地に落ちても、最後には生還することになっています。つまり、PCがシナリオをクリアすることは、最初から約束されているのです。
 それでは、スペオペヒーローズのプレイヤーには、何もすることが無いのでしょうか。いいえ違います。キャラクターの行動には、格好いいアクションと、格好悪いアクションがあります。プレイヤーの目的は、出来る限り格好いいアクションを積み重ねて、格好いいストーリーを創ることにあるのです。
 スペオペのキャラクターは、非常に格好がいいのです。ですから、プレイヤーも、スペオペキャラの格好良さを、心に留めてプレイしないといけません。こせこせしたスペオペなんて、スペオペではありません。
 スペオペのキャラクターとして、いかに格好良いシーンを醸し出せるかが、このRPGの目的だと考えてください。どんなに金を儲けても、どんなに敵を殺しても、格好良く無ければ、意味がありません。
 ヒーローポイントは、できるだけ格好いいエンディングを迎えるためにあるのです。定番の台詞に経験点が出るのも、より格好いいエンディングを迎えるべきだという意図があるからです。
 ですから、スペオペヒーローズのプレイヤーは、以下のようなことに気を配ってプレイすることを推薦します。

アーキタイプ選択

 同じ種類のアーキタイプ(例えば、タフガイとギガントなど)が、同じパーティーに居るのは避けたほうが良いでしょう。スキルも重なっていますし、個性も似てきます。
 アーキタイプの種類は6種類(ヒーロー型・体力型・スパイ型・知性型・ラッキー型・ヒロイン型)に大体区分けされています(知性型は、さらに科学型・工学型・両用型に分けられます)。6種類の中から、1つづつ選ぶようにすると、バランスの取れたパーティーになるでしょう。
 スペオペのPCの最適数は3~4人です。ですから、PCが選ばなかった区分けが出てくるでしょう。ただし、ヒーロー型は、是非ともパーティーに存在するようにしましょう。

スタイルに気を使う

 キャラクターの行動が、他人から見てどうかということに常に気をつけましょう。無様な主人公なんて、あまり見れたものではありません。
 例え逃げ出すときでも「ここで倒れてどうする。男なら、明日のために今日の屈辱に耐えるんだ」と言えば、それなりに格好がつくというものです。
 もちろん、セコイ主人公というのも面白いものです。けれども、せこさの中に格好良さが無ければいけません。セコイけれども、いざと言うときにはやるといった、キラリと光るものを作りましょう。

弱いものに優しい

 ヒーローが、強者に胡麻をすって弱者を苛めていたのでは、話になりません。例え、相手が強大でも権力をもっていても、弱者を庇って戦えるのがヒーローでしょう。

悩んでいないで常に行動する

 ゲームマスターにもよると思いますが、このゲームはあくまでもB級スペオペです。B級スペオペの主人公が、自分の行動について悩むことはあまりありません。
 何をすべきか分からないと思ったら、まず行動しましょう。なんでもいいのです。その行動によって、ストーリーが(良い方向へか悪い方向へかは別として)動きます。そのダイナミズムの中で、事件を解決していけばいいのです。
 じっとしているのは、スペオペの主人公らしくないでしょう。

他のPCを助ける

 PCによっては、ヒーローポイントを多用してしまい、基準値いっぱいになってしまったキャラクターが居るでしょう。
 このような場合、そのPCがダメージを受けそうになったら、どうしたらいいのでしょうか。そうです。他のPCが彼を庇ってやればいいのです。「危ない!」「あ、ありがとう。大丈夫か」「ああ、さあ早く奴をやっつけるんだ」という感じで助けてみましょう。気分は、ヒーロー物です。

協力する

 スペオペヒーローズでは、同じ行為を皆で協力して行なえば(例えば、協力して壊れた船体を修理するなど)、そのような行為は成功しやすくなっています。
 また、戦闘シーンでも、味方の行為を補助する行動をすれば、その味方の行為は成功しやすくなっています。
 ですから、PC達は、できるだけ協力しあいましょう。特に、強大な敵と戦う場合など、協力するのとしないのとでは、大きく結果が違ってくるでしょう。
 「いいか、俺がおとりになって敵を引き付ける。その間に、奴を撃つんだ」「で、でも」「これしかないんだ。頼んだぞ」という感じです。

 ちょっと考えてみれば分かりますが、ある意味でギャグなRPGです。パターンを追求すると、「格好いい」というイメージの他に、「ギャグな」イメージもあります。
 この「格好良さ」と「ギャグ」のバランスが、スペオペヒーローズの醍醐味だと思っています。


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