1 水槽の用意。
2 待つ。(一ヶ月ぐらい。)
3 グッピーを水槽に。
4 水換え。
なぜ一ヶ月待ち、水換えをするのか?
……バクテリアについて
飼う前に時間をかけ、飼いはじめに手間をかけると、あとあとのリスクと手間をはぶくことができます。
まず、水槽を置く場所を決めましょう。
・水槽の重さを支えられること。
・湿気に強いこと。
・手入れしやすいこと。
・電源が確保できること。
・直射日光にさらされないこと。
水槽は、一度水を入れてしまうと動かすのがとても大変なので、設置場所は慎重に選びましょう。
水を入れた水槽は、かなり重いものです。床が沈んだり、台にしたものが歪んだりして水槽が傾くと、破損の恐れがあります。水槽が壊れれば、中の生き物は全滅。部屋は水浸しです。
水槽は湿気の元となりますから、あまり湿気に弱いものと一緒するのは、考え物です。
手入れしにくい場所に置いてしまうと、もちろん手入れが大変です。
電源は、どうしてもいくつか必要になります。
直射日光にさらされる水槽は、コケだらけになりやすいだけでなく、真夏は熱帯魚が耐えられないほど高温になる恐れがあります。
もちろん、すべての条件をクリアする理想的な場所など、そうそうないでしょう。
けれどこれらを念頭におき、状況にあわせて工夫することで、後の面倒が減るはずです。
水槽を設置しましょう。
・水槽と底砂を洗う。
・底砂を敷き、水を入れる。
・水草を植える。
水槽はスポンジでこすり、底砂は米を研ぐように洗います。底砂のにごりを完全に取るのは無理と思ってください。洗剤は、使ってはいけません。水草も洗って、枯れた部分や、よけいなスネールや虫(その卵)を落としておくといいでしょう。
まあ、どれだけやってもスネールはどこからともなくやってきますが。
まず水槽に底砂を敷き、水を入れます。水がにごりますが、何日かすればおさまります。
そして砂をならして、水草を植えます。グッピーの繁殖を考えるなら、水草は最初からたっぷり目、取水口の近くに密生させます。
ヒーター、サーモスタット、エアレーション(ぶくぶく)の設置も、一緒にします。
最後に濾過機、ヒーター、照明、エアポンプの電源を入れます。
特にヒーターは、水に入れる前に電源を入れることがないよう、注意してください。加熱しすぎて危険になったり、安全装置が働いて二度と動かなくなるものもあります。
グッピーがいるつもりで、一ヶ月水槽を動かします。
市販のバクテリアや、長い間使っている濾材を転用し、その日のうちにグッピーを入れられる水槽を準備できるベテランもいるようですが、はじめて飼うときは待つのが一番簡単で確実のようです。
この水槽には、グッピー以外にまだ足らないものがあります。
水の汚れを分解する、バクテリアです。
バクテリアは、地球上のどこにでもいるので、水槽を動かしていれば、水槽の環境に応じたバクテリアが、活動をはじめます。
バクテリアが活動していないと、食べ残しのエサや、グッピーのオシッコやウンチが、水槽の中にたまっていきます。
濾過機は、ゴミを濾すというよりも、こうした毒を分解するバクテリアを住み着かせるためにあるのです。
ただそのまま待てばいいので、水草を眺めながら、待ちましょう。
ついでに初期不良がないか、確認しておくいい機会です。
ヒーターや濾過機は、正常に動いてますか?
一度水温計が壊れていて、その温度を信じて調整したため、魚が全滅したことがあります。
ただ待つのも寂しいので、水換えをしてみましょう。
水槽の水の1/3を、取り替えます。
60リットル入る水槽なら、20リットルです。
最初は手際よくいかないのが普通ですが、グッピーがいない今なら、多少の失敗もへっちゃらです。
このとき、次のことに注意してください。
・塩素抜きをすること。
水道水の塩素(カルキ)を抜かないと、せっかくのバクテリアが消毒されてしまいます。
・やりすぎないこと。
水換えのしすぎで、水槽の水が全部新しくなってしまうようでは、水槽内で活動しはじめたバクテリアを捨てているのと同じです。
1/3ぐらい水換えしたら、一日は開けましょう。
60リットルの水槽なら、1/3で20リットルです。
カルキ抜きをした水を20リットル、どうやって用意し、水槽に入れるのか?
水換えの前後で水温が変わり過ぎないか?
それぞれにあった道具や工夫があります。
20リットルも一度に代えられない! 水温が変わりすぎる! という場合は、回数を増やして量を減らしましょう。二日に一度15リットルとか、毎日10リットルです。
しかし回数を減らして量を増やすと、水換え前後で水質が変わりすぎてしまいます。
私の場合、排水は手動ポンプでバケツにくみ出して捨て、新しい水は20リットル入る海水浴用シャワータンクにぬるま湯(冬場)を汲み、ハイポを使ってカルキ抜きしてからシャワーでザーっと入れています。
・グッピーを買ってきます。
・グッピーを袋ごと水槽に入れ水温にならします。
・袋に少しづつ水槽の水を入れグッピーを水槽の水にならします。
・できればグッピーだけ、水槽に入れます。
水ができてきたら、まずは待望の、グッピーの購入です。
病気のグッピーがいない水槽から、2ペアか3ペア購入しましょう。
少なすぎると思っても大丈夫。すぐに増えます。
たくさん入れれば何匹か生き延びるだろ、ということにはなりません。最初の数が多いほど、リスクが増えるのです。
病気かどうかわからない場合、あやしいと思ったら別のお店に行くか、一週間ほど買うのを先延ばししましょう。
今病気のグッピーを買ってしまったら、そのグッピーが死んでしまうだけでなく、そのウイルスが蔓延した水槽を全部まるごと消毒しないと、今度は元気なグッピーを買って来ても、病気になってしまいかねません。
そうなると、新しい水槽や砂利や濾材や水草や底砂で始めるよりも、よほど面倒です。
お店のグッピーが病気なら、同じお店でも、一週間もすれば全滅するか売り切れて入れ替わっています。
いついっても、どこへいっても、あやしいグッピーしかいない場合、いっそネットの通信販売を利用する、という手もあります。
ネット通販の場合、現物を見て買えない、送料や梱包料がかかる、受け取りに注意が必要、割と高いグッピーがメインなど、デメリットもありますが、下手な店頭販売より、よほど詳しくて誠実な商売をしています。
どうせ水槽に水を入れてから一ヶ月は待つのですから、その間に調べたり、下見しておくと、充分まともなグッピーを購入することができるでしょう。
お店でも通販でも、グッピーは、しっかり口をしばったビニール袋に入れられて、家にやってくることでしょう。
そのビニール袋の口は、いきなり開けないでください。
まず袋をそのまま水槽に浮かべて、そのまま中身が水槽の水温と同じになるよう、30分程度放置します。
袋の中の空気は酸素なので、グッピーが酸欠になるようなことはありません。
次に袋の口を空け、物干し竿用の洗濯バサミでもつかって、水槽内に袋をつるすようにぶらさげます。このとき水槽内の水と、袋の中の水が、混じらないように注意します。
そうやって水温が変わらないようにしておいて、水槽内から少し水を取り、袋の中に入れます。そして袋の中の水を同じだけ、バケツにでも捨ててください。
このときの水の量は、おちょこ一杯。これを十分間隔で、何度も繰り返します。プロはこれを、点滴でやるそうです。
そして捨てた水が、袋に入っている水と同じ量になったら、袋からグッピーだけ取り出し、水槽に入れてやります。
グッピーだけです。
今までグッピーが入っていた水は、たしかにグッピーになじんでいる水ですが、どんなウイルスがひそんでいるのか、わかりません。それまで発病していなくても、今グッピーは、水槽から出され、運ばれ、新しい環境に入れられて、とても疲れています。とても発病しやすい状態なのです。
新しく用意した水槽、いままでグッピーが住んだことのない水槽とその水には、グッピーを病気にするウイルスは、いないはずです。逆にお店の水槽には、どんなウイルスが潜んでいるのか、わかりません。
水換えをする。
・当面三日に一度。1/3。
・塩素(カルキ)を抜くこと。
・水温をあわせること。
日本の水道水は、実はグッピーにとって最適な水です。
ただし消毒薬である塩素を抜けば、の話です。
塩素は、あかるい場所に一日水をおいておくか、それ用の薬(ペットショップにもありますし、100円ショップにも結構あります)をつかえば、簡単に分解されてしまいます。
水換えのとき、水温をまったく変化させてはいけない、なんてことはありませんが、変わりすぎるのはよくありません。
そんなこと気にしなくても大丈夫だよ、という人もいます。が、長らく飼われているグッピーと違い、買ってきたばかりで疲れきっているグッピーにとっては、大丈夫でないこともあるのです。
当面三日に一度。1/3が目安です。
心配なら一日一回でもいいでしょう。
それ以上はやりすぎです。
回数を増やして量を減らすと水質変化が穏やかになりますが、回数を減らして量を増やすのは危険です。
しばらく大変ですが、ずっと続くわけではないので、しばらくがんばってください。
こうして水槽を維持していると、ある日水の透明度が増しているのだそうです。そうなったら水換えの量や頻度を減らしていきます。
バクテリアが水をきれいにします。
グッピーを飼いはじめると、とたんに水がよごれます。
水草だけでも、多少枯れた部分が溶けたりするのですが、食べ残しのエサや、グッピーの出すアンモニア、つまりオシッコやウンチの成分が、水槽の中に、たまっていくからです。
そしてそれは、グッピーにとって毒なのです。
たまるにまかせれば、グッピーは死んでしまいます。
そうしないためには、どんどんアンモニアのまじった水を捨て、新しい水を入れてやらないといけません。
塩素を抜き、温度合わせをした水道水は、グッピーに適しています。
けれど自然の中では、バクテリアがアンモニアを分解します。
アンモニアを、亜硝酸塩に変えるのです。
ところがこれは、アンモニアよりも怖い猛毒なのです。
しかし別のバクテリアが、すぐさま亜硝酸塩を、硝酸塩に変えます。硝酸塩は、水草が栄養として吸収します。
バクテリアが充分いれば、アンモニアは速やかに硝酸塩に変わり、亜硝酸塩はまったくといっていいほど、水中から消えてしまいます。
バクテリアは、常にその環境に適した数まで増え、活動します。もちろん増える量は環境によって限界がありますが、濾過機の中の濾材がその場所となります。濾過機はゴミを濾すためというよりは、こうしたバクテリアのためにあるのです。
ですから濾材に汚れが弾っても、全部一度に交換するのは危険です。また、汚れを落とそうと塩素の入った水道水で洗うことも危険です。どちらもバクテリアがいなくなってしまうからです。
交換するときは、半分ずつ。洗うときは水換えのとき水槽から汲み出した水で洗う程度、それも頻繁に行う必要はありません。
それはそれとして、バクテリアはその環境に適した数までしか増えません。バクテリアのエサであるアンモニアに見合った数までしか増えないと言い換えてもいいでしょう。
つまりグッピーがいなくて、アンモニアが発生しない環境に、新しく入れるグッピーに必要な量のバクテリアは、存在しないのです。
ですからグッピーを入れると、まず水槽内でアンモニアが急増します。
しかし、事前に水槽を動かし、多少なりともバクテリアを目覚めさせておけば、アンモニアの増加を追いかけるようにバクテリアが増え、アンモニアを亜硝酸塩に変え始めます。
そして亜硝酸塩の増加を追いかけるように別のバクテリアが増え、亜硝酸塩を硝酸塩に変えはじめます。
つまり、第二のバクテリアが増きる直前、水槽内の亜硝酸塩のピークがやってくるのです。この時期がもっとも危険です。
水槽に入れたグッピーの数が多ければ多いほど、亜硝酸塩は急激に増えます。
この期間、水中の亜硝酸塩濃度が、グッピーを死なせてしまうほど高くなりすぎないようにしてやるために、頻繁に水換えするのです。
しかしここで水を代え過ぎて亜硝酸塩をくみ出してしまうと、バクテリアがいつまでたっても、充分増えません。
理想的には、亜硝酸塩は、ぎりぎりグッピーが耐えられる程度、水槽に残っていることが望ましい、ということになります。
はっきりいって、どきどきものの綱渡りです。
けれど何日かせっせと水換えをしていると、ある日突然水槽の透明度が増すのだそうです。それが、水槽内で発生するアンモニアが、すべて硝酸塩に変わるようになったという、合図なのだそうです。
それまでに何日かかるかは、水槽の状態によってさまざまですが、そうなったら一安心。水換えの量や頻度を減らすことができます。
もっとも私は、その合図を見極める自信がありませんでしたので、亜硝酸塩の試験紙を買ってきました。
ペットショップで売っている、こういうときのための道具です。
これで水中の亜硝酸塩を見張るのです。
亜硝酸塩は、いつまでたっても消えないように見えました。何日しても、減っていく様子もありませんでした。
ところがある日、突然まったく検出できなくなったのです。
試験をミスったのかと、もう一度試験したぐらいです。
けれど亜硝酸塩は、こんなふうに消えるのだそうです。
水が透明度をましたのかどうかは、さっぱりわかりませんでした。
それから一週間、水換えをせずに亜硝酸塩をチェックしましたが、検出されませんでした。
亜硝酸塩が水中から消えたら一安心です。
が、水中には亜硝酸塩に変わって、硝酸塩がたまりはじめています。
硝酸塩は水草の栄養になります。
けれど水草が吸収しきれない硝酸塩は、やっぱり水中にたまっていきます。
これもたまりすぎれば毒ですが、その前に水槽がコケだらけになってしまいます。
コケも植物の一種ですから、栄養があればはびこるのです。
コケは水草の葉を覆い、水草の光合成をじゃまして、枯らしてしまいます。嫌な臭いがするものもあります。
いわゆる富栄養化現象です。
コケは、水槽に光が入りすぎているとき、そして栄養である硝酸塩がたっぷりあるとき、短期間に大繁殖します。
対策としては、水槽に光が入る時間を減らすことと、水換えで硝酸塩をくみ出してやることです。
硝酸塩のおおもとであるエサをやりすぎていないかどうかも重要です。
また、一番の危機は去りましたが、危機はこれだけではなく、バランスも二種類のバクテリアだけで保たれているわけではありません。
塩素を取り除いた水道水は、とても安定していますし、グッピーにも水草にも悪いものではありません。
最初の不安定な時期はとくに、水換えをすることで、傾きだした水槽のバランスをもとに戻してやるのです。
時間がたつにつれ、水槽のバランスはどんどん取れていきます。
最初のうちは、エサを入れすぎたり、グッピーを一匹足しても、一匹死でも、バランスが大きく崩れます。グッピーは足さないこと、死んだらすみやかに取り除くことです。
いずれ完璧なバランスが保たれ、蒸発分の足し水だけでまったく水換えをしなくてもよくなるかもしれません。
ただそうなると、その水質はその水槽だけの水質となり、何か起きたときに困ることも、ないではありません。
ですから水換えは、そこそこやっといたほうがいいんじゃないかと思います。
・事前にバクテリアを増やしておく方法
水槽に水を入れて一ヶ月待つのは、バクテリアを増やすためです。
けれどグッピーがいなければ、アンモニア源もないので、バクテリアは増えません。すぐに増える状況にしておくことができるだけです。
ならバクテリアやアンモニアを入れてやれば?
そんな方法がいくつかあります。
・別の水槽からいろいろ持ってくる。
一つの水槽を二つに分けて、両方に新しい水、底砂、濾材を追加しても、活発に活動しているバクテリアは、双方ですぐに不足分をおぎないます。
濾材のにごった絞り汁を新しい水槽に入れるだけでも、かなり効果があるそうです。
けれど初めて飼う家に、そんなものがあるはずもありません。
・バクテリアを入れる。
水槽用のバクテリアを、ペットショップで売っています。ただアンモニアがないと、結局バクテリアはいなくなってしまいます。あれは気休めにすぎないという人もたくさんいますし、気休めにはなるという人もいます。毎日バクテリアを入れれば、それがバクテリアのエサになるのでバクテリアが増える、といっている人もいます。
とりあえず、濾材のしぼり汁があるなら、そっちのほうがいいそうです。
・パイロットフィッシュを入れる。
アンモニアの発生源としてグッピーより丈夫な魚を水槽に入れ、バクテリアを増やしたのち、パイロットフィッシュをグッピーと交代させます。
パイロットフィッシュは入れっぱなしでも、何もいなかったところへいきなりグッピーを入れるよりはましですが、水槽内で発生するアンモニアの量が激増しますから、亜硝酸塩が発生しないわけではありません。
ただグッピーを入れる前にパイロットフィッシュが病気になったりすると、えらいことになります。
・アンモニアを入れる。
市販のアンモニアを毎日水槽に入れます。どのぐらいの頻度で、どれだけ入れればいいのか、私にはわかりません。また市販のアンモニアといっても、役に立つものと立たないものがあるらしいです。
・エサを入れる。
食べ残しのエサは水質汚染の最大原因と言われていますし、アンモニアも元はエサです。グッピーがいるつもりでエサを入れれば、アンモニアも増え、バクテリアも増えるということらしいです。
エサのほか、死んだ小魚を入れるという方法もあるそうです。チリメンジャコでも入れればいいのでしょうか?
うちの場合、バクテリアとパイロットフィッシュを使いました。