確定性ロールプレイングにおいて、結果を知ってロールプレイする方が、ずっと簡単であることを説明した。そして、『N◎VA』は、その浮いた余力を濃いロールプレイを行うことに費やすよう、システムが作られていることを説明した。
しかし、考えてみれば解るが、この考え方はゲームマスターにも適用できるのだ。
今やっているシーンがどういう結末を迎えるのか解ってゲームマスターを行うほうが、知らないまま行うのに比べ楽であることは、火を見るより明らかである。
そして、そのような構造を持ったマスタリング・ルールを持たせたRPGが、拙作『スター=ロード』である。ルール構造上、ダークパワーが発動されてしまえば、ストーリーはダークパワーの影響下で進むことになる。
このような構造になっている理由は、SF-RPGが難しいからである。
SFはファンタジーと違い、世界の構造に科学が入ってきている。このため、どうしても現代の物理学を無視することが難しく、ワールドの説明や、個別のシーンの説明が難しくなりがちである。
このため、SF-RPGのマスタリングは面倒になりがちなのである。
そこで、スター=ロードでは、マスタリングを確定的にすることにした。こうすることで、ゲームマスターは、プレイ前から、特定のシーンがどういうシーンになるかを、予測できた上でマスタリングを行うことができるのだ。
こうすることで、どのような利点が得られるか。
SF的なカッコイイシーン(惑星が爆発するシーンとか、宇宙船がブラックホールに呑み込まれるシーンとか)を描写を、あらかじめ考えておいた通りにプレイできるのだ。このようなシーンをその場で臨機応変に作り出すのは、ベテランマスターにとっても、かなり困難な問題である。しかし、シナリオを作っている時に思っていたシーンを再現するのなら、それほど苦労無しに、SF的シーンを盛り上げることが出来るのではないだろうか。
通常では困難な(SFブームが遥かな過去になってしまった現在では、さらに困難な)SF-RPGのゲームマスターを、システムを確定性にすることによって負担を減らし、その分をSF的シーンの描写につぎ込んでもらうためのシステム。それが、スター=ロードで確定性マスタリングを採用した理由なのである。