パーティーの立場
スペオペを読むと分かりますが、必ずしも主人公グループは、正義の味方というわけではありません。正義の味方を主人公にしたスペオペも有れば、宇宙の大泥棒を主役にしたスペオペも有ります。軍人を主人公にしたスペオペも、商人を主人公にしたスペオペも、宇宙海賊を主人公にしたスペオペもあります。一匹狼も居れば、仲間と行動する者も居るのです。ただし、一定の倫理感を持っているのは当然ですが。
それでは、主人公グループ(すなわち、PCのパーティー)は、どのような人々なのでしょうか。これを決めなければ、そのメンバー構成を考えることは出来ません。その解決は簡単です。ゲームマスターに聞いてみましょう。
ゲームマスターに聞けば、「このシナリオは、銀河連合軍の秘密情報部員を主役にしたものだ」とか「宇宙の運び屋が、仕事を頼まれる話だ」とか教えてくれるでしょう。そうしたら、それに合わせてPCグループを作ればいいのです。特に、決まっていないのなら、後述する「レイダー」であるとするのが、最も一般的で、多くのシナリオに対応できるので便利でしょう。ですから、特別な設定が無いのなら、PC達はレイダーであるということにしておきましょう。
それ以外にも、以下のような色々な立場で、スペオペの冒険をすることができます。
運び屋
まだ定期航路の通っていないような辺境の植民星でも、シンジケートが支配する汚濁と犯罪の星でも、頼まれればどんな荷物でも運びます。頼まれたら、少々ヤバイ品物でも気にしません。例え、宇宙海賊が出ようとも、必ず期限通りに間に合わせるのが、プロの運び屋です。
銀河連合のエージェント
宇宙には数多くの問題があります。銀河連合は、その問題を解決するために、各種の専門機関を設立しました。専門機関は、それぞれの問題に対し、調査員などを派遣します。
どんな専門機関が有るかは、第11章を参照してください。
惑星間ハンター
宇宙には、信じられないような異生物が多数存在します。それらを捕獲し、あるいは仕留めるハンターも居るのです。
動物園などから捕獲の依頼を受けたり、狂暴な生物の強襲を受けている植民地を救ったりします。
バウンティハンター
この宇宙には、悪党が無数に居ます。ケチな詐欺師から、凶悪な宇宙海賊まで、悪党のタネは尽きません。彼らを逮捕し、あるいは殺すと、賞金が入ります。主人公は、そんな賞金稼ぎのプロなのです。
エスピオナージ
この宇宙の政治状況は、非常に流動的で、ほんのちょっとしたことから大戦争が起こらないとも限りません。それらを食い止めるために、銀河連合は、専門の諜報組織を設立しています。
主人公は、その尖兵として、あちこちの太陽系に潜入し、クーデターや内乱、戦争などの危機を未然に防ぎます。
アウトロー
辺境の拡大は、既存の社会に生きていけない者達、つまりアウトローに活躍の場所を提供しました。スリルと興奮を求めるアウトロー達は、宇宙へ飛び出したのです。
主人公は、アウトロー(もしかしたら宇宙海賊かもしれない)として、この宇宙を冒険します。
宇宙の傭兵
戦争が宇宙へ拡大するにつれて、兵士の環境は激変しました。無重力下での宇宙船乗り込み戦闘から、高重力惑星でのロボット戦まで、戦争の範囲が非常に広がったのです。そして、訓練の十分でない兵士には、このような環境において、戦闘力を維持しつづけることは不可能でした。
そこで、戦争の専門家、すなわち傭兵が広く使われるようになりました。主人公は、いかなる環境においても、おのれの肉体とメカを駆使して、戦争を遂行します。
正義の味方
この混沌たる宇宙を嘆いた1人の人物が、正義のために立ち上がりました。彼は、自ら組織したグループを率い、正義のために悪と戦っています。
このパターンは、1930年代の古典的スペオペでは主流でした。ただ、この設定を取った場合、資金やバックがどうなっているのかなど、プレイヤーとマスターで相談して決めるべきでしょう。もはや、正義の味方だからといって、無条件に存在が許されるべきではありません。正義の味方にも、その存在を納得させるだけの設定が必要です。
例えば、警察が民営化されているとか、実は主人公は大金持ちで暇潰しに正義の味方をしているのだとか、何らかの説明をしましょう。
ジャーナリスト
事件とあらば出かけていって取材します。特ダネのためなら命をかけて、自分で事件を解決してしまいかねません。そんな、突撃ジャーナリストは、スペオペの時代になっても無くなることはないでしょう。
また、社会の不正を正すために、圧力や妨害にも負けずに取材を続けるハードボイルドなドキュメント作家も消えることはありません。主人公は、そんなジャーナリストの一員です。
盗賊
人類が宇宙に広がるにつれ、お宝も増えました。太古宇宙人の遺跡などが発見されたからです。そして、お宝が増えたと言うことは、それを狙う者も増えたと言うことです。
主人公は、スマートな盗みのテクニックを駆使して、あらゆるお宝を盗むことに命を賭けています。
宝探し(トレジャーハンター)
宇宙では、信じられないような宝物が発見されることがあります。特に、太古宇宙人の遺跡が発見されてからは、遺跡発見ブームが巻き起こりました。そして、それは、宝探しの専門家をも生み出したのです。
主人公は、埋もれた遺跡を探し出し、そこから珍しい宝物を見つけだすことに生きがいを感じています。
仕置人
この宇宙は、暴力や金がものを言う世界です。そして、そのために泣くものも多数います。警察も当てにならないところが多いし、中には警察自身がそうやって甘い汁を吸っている星すらあります。そんな者の恨みを晴らしてくれる仕置人という職業が存在します。
主人公は、仕置人のメンバーとして、悪を懲らしめます。
レイダー
スペース・サポート株式会社(第8章参照)という巨大人材派遣業者があります。そこ(もしくは類似企業)に登録しているフリーランスの人々を、レイダーと言います。
レイダーは、上にあるような事を、何でも(宇宙海賊などの明らかな犯罪行為は除くが)引き受ける宇宙の流れ者です。
多くのレイダーは、悪法であっても守らなければならないと考えるほど堅苦しくはありませんが、邪悪な行為には手を出さないだけの自律心は持っています。
主人公は、そんなレイダーの一人として、宇宙を巡ります。
パーティー構成
スペオペでは、主人公は自分専用の宇宙船を持っていることが普通です。また、その宇宙船に小型戦闘機などを積んでいることも多いようです。
そこで、パーティーは、これらの宇宙船が運用できるように、パーティーを編成しないといけません。参考のために、人数別に、人員の振り分けを考えてみましょう。
ちなみに、スペオペヒーローズは、プレイヤー数が2~5人くらいを前提に作っています。3~4人くらいでプレイするのがベストだと思います。それに、多くのスペオペは、主人公グループは3~4人ですからね。
1人
考えるまでもありません。1人で、宇宙船を操縦する必要があります。幾つかの技能はコンピュータやロボット等に肩代わりさせるべきでしょう。しかし、戦闘シーンを考えると、〈宇宙船パイロット〉と〈砲塔〉は人間が持っておく必要があるでしょう。
操縦士:宇宙船パイロット・砲塔
コンピュータ:超空間工匠・宇宙船航法・センサー・エネルギー工学・ロケット工学
2人
2人で宇宙船を操縦します。2人しか乗っていない宇宙船では、艦載機を同時運用する余裕は無いでしょう。どうしても、同時運用したいなら、2人とも操縦士である必要があります。また、機関関係は、コンピュータなどに肩代わりしてもらう必要があります。
Aパターン
操縦士:宇宙船パイロット
航法士:宇宙船航法・砲塔
コンピュータ:超空間工匠・センサー・エネルギー工学・ロケット工学
Bパターン
操縦士1:宇宙船パイロット・砲塔
操縦士2:宇宙船パイロット・砲塔
コンピュータ:超空間工匠・宇宙船航法・センサー・エネルギー工学・ロケット工学
操縦士兼艦載機パイロット:宇宙船パイロット・砲塔
航法士兼副操縦士:宇宙船航法・宇宙船パイロット
機関士兼砲手:超空間工匠・エネルギー工学・ロケット工学・砲塔
コンピュータ:センサー
Aパターン(艦載機1機)
操縦士兼艦載機パイロット:宇宙船パイロット・砲塔
航法士兼副操縦士:宇宙船航法・宇宙船パイロット
機関士兼砲手:超空間工匠・エネルギー工学・ロケット工学・砲塔
探知士兼砲手:センサー・砲塔
B:パターン(艦載機2機)
操縦士兼艦載機パイロット1:宇宙船パイロット・砲塔
航法士兼副操縦士:宇宙船航法・宇宙船パイロット
機関士兼砲手:超空間工匠・エネルギー工学・ロケット工学・砲塔
探知士兼艦載機パイロット2:センサー・宇宙船パイロット・砲塔
コンピュータ:センサー・砲塔
金銭
スペオペを読むと、主人公達がお金に不自由していることは滅多にありません。普段は、活動に必要なだけの金銭は持っています。
もちろん、ストーリー的にそうしたほうが面白いときなどは別です。例えば、濡れ衣を着せられて宇宙軍に追われているので、銀行預金やクレジットカードが使えない時とか、そう行った場合に金銭に不自由するのは、ストーリー上から言っても面白いので、意味があります。
また、主人公が貧乏なのにもかかわらず、面白いスペオペも多数あります。ゲームマスターが、そちらのほうが面白いだろうと思えば、そちらを採用すればいいのです。
そこで、ゲームマスターは、自分の世界やPCの境遇に合わせて、スペオペの主人公の初期金額を設定します。
面倒な場合は、大金持ちレベルであるということにすれば、金銭の事を余り考えなくてすみます。もちろん、この規定は、ゲームマスターを縛るものではありません。多くのスペオペでそうしているから、スペオペヒーローズでもそうしたほうが便利ではないかという提案です。
ちなみに、1クレジット(Cr)=1円と考えてもらえば、それほど間違ってはいないでしょう。通常の生活費用(食事や宿泊、交通費など)は、日本の現代を基準にして考えれば良いでしょう。
大金持ちレベル
金持ちレベルのパーティーとは、多くのスペオペに出てくる「いったいどこから金を儲けているのだろう」というキャラクター達を表わします。
彼らは、基本的にはお金に不自由することはありません。常に、十分な金額を持っているものとします。例えば、情報屋から情報を買う場合、「この情報は高いぜ」と言われても、「ちっ、しかたねえな」と言えば、払えたと考えましょう。
このレベルのキャラクターにとって問題となるのは、本当に莫大な金額だけです。それは、宇宙船の建造費用や、新たな巨大ロボットや宇宙戦闘機などの購入などです。このような場合は、それなりにペナルティを与えてもいいでしょう。例として、しばらくは所持武器を半減するとか、情報屋に払う金が無いとかです。
もしも、ゲームマスターが面倒だと考えれば、それら莫大な金額すら払えてしまったとしても構いません。
このレベルのパーティーには、初期所持金など考えなくても構いません。買いたいものは買えたと考えればいいのです。各キャラクターには、手持ちの金として、2D6×1億クレジットほど持っているとすればよいでしょう。
金持ちレベル
十分な収入を得ているので、裕福なパーティーです。宇宙船を持っており、その維持費用程度は楽に払えるでしょう。
彼らも、基本的にはお金に不自由することはありません。自動車くらいのものは即座に買えてしまいます。
けれども、航空機や宇宙船などを買うには、金が不足しています。金を貯めるか、大きな仕事で一攫千金を狙うかする必要が有るでしょう。
このレベルのパーティーの初期所持金は、1D6×1億クレジットです。各キャラクターの手持ちの金は、1D6×1000万クレジットです。
並レベル
並レベルのキャラクターは、宇宙船を持っているものの、維持費やら生活費やらを稼ぐために、金を儲けなければいけません。
彼らは、通常の生活をする範囲においては、金に不自由することはありません。つまり、その辺で食事をしたり、安ホテルに止まったり、ちょっとした旅行をしたりするくらいなら、気にしないで金を仕えます。
けれども、銃器やコンピュータなどの装備を買うとか、宇宙船燃料を補給するなどといった場合、所持金の減るのが実感されます。
このレベルのパーティーの初期所持金は、1D6×1000万クレジットです。各キャラクターの手持ちの金は、1D6×100万クレジットです。
貧乏レベル
貧乏レベルのキャラクターは、宇宙船は持っているものの、その運行費用の捻出に苦労しています。もしも、大きな損失を出したならば、借金生活に落ちてしまいます。そうなったら、せっかくの宇宙船が取り上げられてしまうことすらありますいます。
食事をしても、安ホテルに泊まっても、財布から金が出ていくのが実感されるでしょう。
このレベルのキャラクターの初期所持金は、1D6×100万クレジットです。各キャラクターの手持ちの金は、1D6×10万クレジットです。
初期の持ち物
主人公グループを作成した場合、グループの持ち物を決めなければいけません。以下に、スペオペの主人公のよくあるパターンを提示します。ゲームマスターが、独自の設定をしたいので無い限り、主人公グループは、以下の持ち物を、キャラクター作成の時点で持っているとすると良いでしょう。
もちろん、この設定が面白くないと考えるゲームマスターも多いでしょう。そのような場合は、ゲームマスターがオリジナルの設定を考えてください。ここに書かれているのは、よくあるパターンであるというだけなのです。