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三つの槍の探索・外伝
ルーンクエスト/ヴァイキング
~神々の樹イグドラシル
または、ふたりの後家物語~
Godhartre Yggdrasil
細江ひろみ&怪兵隊☆これまでのあらすじ(ウソ)
『ルーンクエスト/ヴァイキング』の世界は、スカンジナヴィア、北欧のあたりでしょうか。現在はノルウェー、デンマークがあるあたりです。リプレイに登場するデーンの地が、デンマークを指しています。
この仕事の話しが怪兵隊の健部さんからきたときには、あの(註:『虚空の神々』新紀元社から発行されているケルト神話と北欧/ゲルマン神話の本を書いた)健部さんがマスター! ということで、喜びいさんで引き受けました。
そして、ヴロウベル(注:RPGマガジン25号まで12回に渡って連載された『ペンドラゴン』のリプレイ『三つの槍の探索』に登場した女戦士)が参加するとのことで、期待に胸が膨らんでいたのです。
そうかー、ヴァイキングとペンドラゴンって、同じ時代だったんだなぁ(健部の注:大嘘。このリプレイにブロウベルを出したくて、時代を大幅に逆のぼらせたので、こういうことになってしまった。アーサー王の時代に、ヴァイキングはいないらしい)。
ちなみに、『三つの槍の探索』から3年の歳月が過ぎています。
☆キャラ・メイク! 放浪の娘スヴァーラ(23歳)の場合
GM:キャラができていないのは、M-ヴィエさんだけです。
名前と、どのようなキャラにするかは決まりましたか?
私:その土地の一般的な人にしようかと思うのですが、どんな名前が普通でしょう。
GM:『ルーンクエスト/ヴァイキング』には、そのような人のために、名前リストが載っています。
私:じゃあ……(サイコロを振って)これ。
GM:オッケイ、スヴァーラさんですね。
じゃあ家柄なんかもダイスで決めてみますか?
私:そうします。
このように、わたしのキャラクターの名はスヴァーラに決まりました。
親の代から半農半漁をしているヴァイキングの娘と、希望通りの生まれとなりましたので、そのままトールというこの地で一番庶民的な神のもとに入信し、《発火/Ignite》と《防護/Protection》の魔法を修得することにしました。
この時に、両手の甲にルーン文字の入れ墨をすることになります。
もうひとつ《敵の検知/Detect Enemy》という呪文には、入れ墨はいりませんでしたが、フォーカス(焦点具)が必要でしたので、“自分の髪”を選ぶことにします。
女性は危険を占うために髪をのばした、という話しを思いだしてのことですが、鬼太郎の“妖怪アンテナ”だと、受けていました。
次は装備です。
この地方は夏は白夜になるほど緯度が高く一年中雪が残る地方ですから、皮のジャケットにスキーは標準装備になります。
そしてラウンド・シールド(丸盾)とショート・スピア(魚突き用です)。
現金を持ちませんので、20ペニー分の干し魚がかさばっています。
あとは冒険の理由です。
結婚直後に海に漁に出たまま帰ってこなかった夫を探すために旅に出ることにしました。
となると20歳前後、独断で23歳と決めます。
こうしてスヴァーラができあがりました。
☆遭難! 白竜の騎士ブロウベル(32才)の場合
GM:ではブロウベルからはじめましょう。
アーサー王に呼ばれて、デーン王のもとに使者として遣わされることになりました。
友好の印として、クローディアス王に渡す剣を、マーリンから持たされます。
ブロウベル:じゃ娘に「戻ってこなかったら、お父さんといっしょにヴァルハラにいるからね。フィリップをよろしくね」とか言って出かけよう。
GM:さて、船をしたててもらって旅をしていると、嵐がやってきてマストに雷が落ちます。ブロウベルは船から投げ出されました。<泳ぎ>チェック!
ブロウベル:わー、だめだ。泳げない!
GM:では溺れるかどうか、毎ラウンドCONチェックをしてもらいます。
さて預かった剣が背中の鞘から抜け落ちそうですが……。
ブロウベル:えっ? うー、剣に手を伸ばす!。
GM:剣が浮いて、あなたを海面までひっぱりあげますよ。
ブロウベル:へ?
GM:ではスヴァーラ。
夫の消息を追う旅の途中、漁村につきました。
見ると、嵐のせいかボートはすべて陸に引き上げられています。
海岸から10キロくらいのところで、船が沈みかけているのも見えます。
スヴァーラ:「もしや、夫も海であのように……」と手近なボートを有無を言わせず借りて助けにいきます。
GM:<操船>を振ってください。だめ? じゃ、波が高くてなかなか船まで近づけません。
スヴァーラ:<投げ>でロープを投げます。
成功です。
ブロウベル:必死でロープにつかまります。
GM:ブロウベルを含めて5人つかまりました。
ボートの定員は4人で、全員乗せると沈みますが……。
スヴァーラ:では引き上げずに「つかまっていて」と言ってロープを船に繋ぎ、そのまま岸まで急ぎます。
GM:ブロウベル。
つかまってるロープがピーンと引っ張られるぞ。
その瞬間、皮鎧に身を包んだ女性を、雷が後光のように照らし出した!
ブロウベル:「あれはワルキューレ! 私はヴァルハラに行くのね。
でもロープにつかまって行くとは思わなかった……」
GM:戦いで死なないと、ヴァルハラには行けないってば。
さて、みなさんはボートごと海岸に投げ出されます。
ボートは壊れ、嵐もひどくなっています。
これ以上の救助活動は無理ですね。
船も沈みました。
スヴァーラ:拾った男性の中に、夫はいないのね。
じゃあ、しかたなく嵐をしのげるところを探します。
GM:<捜索>ロール。
成功? 網小屋があります。
スヴァーラ:けが人をひきずって網小屋に入ります。
ブロウベル:気落ちして、スヴァーラに続きます。
GM/老人:中には片目の老人がいて「嵐の中、大変じゃったのぉ」とワインと干し肉をさしだします。
ブロウベル:「ありがたく、いただきます」身体をかわかしたら朝まで寝ます。
スヴァーラ:夫のことを尋ねてみます「あのもし。このあたりで、カクカクシカジカ……」
GM/老人:「おお、それなら知っておる。なかなか威勢のよい若者であった。 南のイェーアトで船をしたてて海向こうのデーンへ行くとか言っておった」
スヴァーラ:「本当ですか! 夫は生きているのだわ!」
GM:ほかに何もしなければ、朝になります。
空は晴れ渡り、小鳥がさえずっています。
あなたがたは砂浜で目をさましました。
小屋はありません。
ブロウベル&スヴァーラ:「えっ! なぜ!」
GM:さあ? 海からザンブザブと馬が泳いできます。
荷物一式と槍を背負った、ブロウベルの馬です。
ブロウベル:とりあえず「よかったー!」
スヴァーラは考えました。
小屋ごと消えてしまった奇妙な老人の言葉は信じてもいいのではなかろうか。
そしてブロウベルの目的地もデーンだとのこと、これも何かの導きだろう。
こうして、一緒に南のイェーアトの港に向かうことしたのです。
☆放浪! ベルセルクのオーグムンド(25才)の場合
一方、こちらはアウトローのオーグムンド。
アウトローというのは何らかの罪によって追放刑を受けたもので、村などに入ったら誰に殺されても文句が言えないのだそうです。
ただし本人は「だれがこのオレを殺せるんだ」といっています。
なるほどそれだけの力が彼にはあります。
人間としてふるまっていますが、隠された口元には鬼神(ルビ;トロウル)の血が混じった証明である白い牙があります。
彼は生まれながらの放浪者(ルビ;ワンダラー)であり、そして《ベルセルクの激情/Berserkrs Gang》によって狂戦士と化すバーサーカーなのです。
GM:ではオーグムンド、ここのところ数日狩りをしていても、必ず“黄金の鹿”にじゃまをされて獲物を得られず、1D6日何も食べていません。ちょうどいま“普通の”ヘラ鹿を見つけたところですが。
オーグムンド:(ダイスを振って)4日も? くそっ。
ともかく、じっとして鹿をまつ。
鹿って好奇心が強いから、近よってくるんだよね。
GM:そうですね。
突進してきます(笑)。
オーグムンド:「どわー」殴ってやる……はずれた!
GM:角でどかーっと突撃! 胸に6ポイントのダメージ。
気がつくと、視界の隅に黄金の鹿がいるよ。
ヘラ鹿の方は、とっとと逃げていきますが……。
オーグムンド:「だー!」黄金の鹿のほうに行く。
GM:黄金の鹿は突撃してきます。
オーグムンド:「人間さまになにしようってんだ」
GM:鹿は後ろを向きました。
オーグムンド:「逃げようってのか?」
GM:後ろ蹴りをくらわしてあげよう。
どかっ!腹に蹴りが入る、8ダメージ。
オーグムンド:「どあっ」くそー《ベルセルクの激情》だ! バーサークして飛びかかる!
GM:ふっと足元がなくなりました。
雪庇を踏んだようですね。
オーグムンド:「うあーーーーぁぁぁぁ」
☆散策! ドヴェルグのオッザル(51歳)の場合
ドヴェルグとは毛むくじゃらのドワーフです。緑色のぶよぶよしたアンデッドのドラウグを下男(実際には“使い魔”なのですが)として連れています。
ふたりあわせて“ムックとガチャピン”コンビと呼ばれてしまいました。
GM:次はオッザル。
君の散歩道に腹に蹄の痕をつけた男が落ちている。
そして遠くに黄金の鹿がいる。
オッザル:日記につけておこう「黄金の鹿を見た」
☆宿命! ゴジ見習いフラーヴン(27歳)の場合
オーディンを信仰するゴジ(神官)見習い。修行のために伝説の世界樹イグドラシルを探して旅をしています。
<世界知識>の技能は高いのですがダイス目に恵まれず、そのときにかぎって技能の低いオッザルとオーグムンドだけが成功していました。
GM:それからフラーヴンも黄金の鹿を見た。
近づくと、鹿は行ってしまったが、人影は残っている。
フラーヴン:「けがをしておられるようですな」と《治癒/Heal》をかけてあげよう。
あ、失敗(笑)。
オッザル:「わが家に運んで、手当してしんぜよう」
GM:じゃ、みんなでオッザルの穴についたと。
中には、緑いろのブクブクしたものがいるけど……。
オッザル:「うちの下男のドラウグじゃよ」
スヴァーラ:わーい、ガチャピンだ。
GM:そうじゃないでしょ。
さてフラーヴン。
<人間知識>を振ってみて。
成功? そのガチャピンは、かつては人間だったもので、今は息をしていないのに、動いてることがわかるよ。
フラーヴン:わー。知りたくなかったぁー。
GM:さて手当も終って、オーグムンドは気づいた。
オーグムンド:「オレはアウトローのオーグムンド」
フラーヴン:「ゲッ、アウトロー……」
オッザル:「おもしろい。
わしはオッザルというが、そなたたちはなにをしておられるのかな?」
フラーヴン:「世界樹を探して旅をしております」
オッザル:「世界樹イグドラシル! あのおーきなトリネコの木を探しておられるか?」
GM:<世界知識>を振ってください。
成功はオッザルとオーグムンドだね。
ふたりはイグドラシルと聞いてハッと思い出す。
イグドラシルには4頭の黄金の鹿が住んでいるという伝説があるんだ。
オッザル:「そういえば、あの黄金の鹿……」
オーグムンド:「あの鹿めー、許せん」
フラーヴン:なんで、おれだけわからないんだー。
二人の珍客をオッザルは港まで送っていくことになりましたが、ドヴェルグのオッザルは強い光が苦手なのだそうです。
そこでフードを目深にかぶります。
ガチャピンことドラウグも歩く死体なので同じようにフードで姿を隠します。
オーグムンドもアウトローであることがばれれば港に入ったとたんにまずいことになりますのでフードのお世話になります。
このようにして、あやしげな3人プラス神官(見習い)の一団が港に向かいました。
☆黄金の王ベーオウルフ
一方、スヴァーラとブロウベル(&4人の部下)は、イェーアトに到着しました。
道中いろいろありスヴァーラにはブロウベルが「偉い人」だとわかりました。
寒村育ちのスヴァーラには想像もできなかった地位のブロウベルと、あまりにも立派なイェーアトの街をスヴァーラが見たら……、彼女は萎縮するだろうなぁ。
うん、そうしよう、ヘコヘコ。
GM:とくに目を見張らせるのは白く輝くベーオウルフ王の王宮です。門番がいます。
ブロウベル:べいおうるふー!
スヴァーラ:だれそれ?
GM:あとで資料を貸してあげよう(笑)。
ブロウベル:正装して王宮へ向かい、王への会見を求めます「私はログレスからやってきた騎士ブロウベルです、王に頼みがあってやってまいりました」
スヴァーラ:正装を見て、さらに小さくなっています。
GM/衛兵:「誰ともわからぬ者を取りつぐわけにはまいらぬ、なにか身分の証をお預かりしたい」
ブロウベル:「これが私の身分を現わします」と言って、白竜の紋章が書かれた盾を渡します。
GM/衛兵:しばらくすると兵士があわててやってきます「お待たせしました。まずはお連れのみなさまとともに、控えの間でおくつろぎくださいませ」
スヴァーラ:おろおろしながら、一緒に入ります。
GM:しばらくすると謁見の間に通されます。黄金の兜と鎧に身を包んだ王がいます。
スヴァーラ:平身低頭ーっ。
ブロウベル:「私はログレスの騎士ブロウベル。アーサー王よりデーン王クローディアス殿に使者として向かう途中、雷神トールのいたずらにより船を沈められ、この地で難儀しております。ぜひ、ご助力をいただきたくやってまいりました」
GM/ベーオウルフ:「ほほう、トールのいたずらとな。だがクローディアス殿は亡くなられたぞ」
ブロウベル:「では今は、アムロージ殿が?」
GM/ベーオウルフ:「いや、彼も……。
いまは遠縁の、フローズガール王が治めておられる」
ブロウベルがベーオウルフ王からの使節をかねることとなり、出立の用意ができるまで王宮内で客としてもてなされることになりました。
おかげさまでスヴァーラも王宮通行証の立派な指輪を戴いて、港へでかけて夫の消息を尋ねてまわるとしましょう。
GM:あれっ。ブロウベル、どうしたの?
ブロウベル:そろそろ仕事に行かなければならないので、失礼します。
じゃ、みなさんあとはよろしく。
GM:あ゛ 以降ブロウベルはNPCとします。
☆イェーアトの港街
一方、フラーヴンたちもイェーアトの街に到着しました。が、あまりの怪しさに衛兵にとがめられかけ、とっさにフラーヴンがほかの3人を奴隷としてベーオウルフ王へ献上するのだとごまかし、なんとか入国を許してもらったようです。
そこへ偶然通りかかったのが、運のツキでした。
スヴァーラ:「もし。これこれこういうわけで、わたしの夫を知りませんか?」
フラーヴン:「残念ながら、私は存じません」
オッザル:「海に出たとな。波には9人の乙女がおるからのー。いまごろはその腕に抱かれて、海の底におるのではないか?」
オーグムンド:正体がばれないように、わざと低能のふり「フラーヴンどのー、腹が減りませんかー」
GM:オッザル、<視力>ロール。
成功? スヴァーラの指に素晴らしい黄金の指輪がはまっている!
オッザル:金! スヴァーラの手を取り「これはまた素晴らしい指輪ですのぉ」
GM:オッザルの腕は、毛むくじゃらです。
スヴァーラ:ひーん、恐いよー「きゃぁ! これはベーオウルフ王にいただいたもので……」
一同:「ベーオウルフ王!」
スヴァーラ:「さ、さようなら」強引に離れます。
フラーヴン:追いかけて「王宮はどちらでしょう?」
スヴァーラ:「私もちょうど王宮へ帰るところで……はっ」……これでどつぼ。
フラーヴン:「でしたら、王宮のほうに取り継いでいただけると大変ありがたいんですが……」
スヴァーラ:ひーんひーん恐いよー、こんなのを王宮に連れていったら怒られるよー、でも逃げられないよー。
GM:黄金の鎧兜の王が、玉座に座っているよ。
オッザル:黄金だ!「妖魔グレンデルを倒した英雄ベーオウルフ王の領地に住まう、卑しい小人にてございまする。みごとな鎧でございますなー」
フラーヴン:「遥か東の国より、イグドラシルを探してこの地にまいりました。 見聞広きベーオウルフ王にあらせられましては、もしやご存知ではと……」
オーグムンド:「オーッドですぅ。黄金の鹿に導かれてきたんだぁ」
GM/ベーオウルフ:「さすがにイグドラシルは見たことはないが、黄金の館であれば若いころに世話になったことがある……」
オッザル:「黄金の館!」
GM/ベーオウルフ:「入り口には巨大な鹿の角がかかげてあった。
その名も“鹿角殿ヘオロート”。
海を渡ったデーンにある。
ちょうどデーンのフローズガール王へ使者を送ろうと思っていたところだ」
フラーヴン:「よろしければご一緒させていただけないでしょうか」
GM/ベーオウルフ:「よろしいかな?」とスヴァーラに尋ねるけど。
スヴァーラ:泣き顔で「王の仰せとあれば」
オーグムンド:「そーんなに、きらわなくたってぇ」
GM/ベーオウルフ:「もう芝居はやめるがよい。
使命をはたせば、そなたの罪も消せぬこともないぞ」
オーグムンド:あ、すでにばれてる……。
☆血染めのヘオロート
ところかわって船の上。GM/ブロウベル:「イグドラシルなら若いころに見たわ。神の心にかなわなければ、見ることなどかなわないって話だけど。夫ならティル・ナ・ノーグ、ベーオウルフ王なら神の国と呼ぶ場所にあるはずよ」
スヴァーラ:「神の国へいけば夫の消息がわかるかしら」
オッザル:「それはヴァルハラじゃ。死んでおれば会える。会えなければ生きておるということじゃ」
GM/ブロウベル:「求めるなら必ずや試練があるはず。心を純粋に保たなければ」
さて、港が見えてきます。
しかし人影がありません。雰囲気が変です。
オーグムンド:「とにかく港にあがろう」
GM:上がると建物が壊され、スプラッターな死体が大量に転がっています。
スヴァーラ:《敵の検知》をかけます。
成功です。
GM:反応はありません。
魔力点、減らしといて。
スヴァーラ:「今は危険なものはないようですわ」と告げてから、夫の死体があったりしないかと探します。
GM:<人間知識>と<動物知識>を振ってください。
<人間知識>に成功したひとは、人間技とは思えない殺されかたをしているのがわかります。
<動物知識>に成功したひとは、ザックリと爪でやられたのがわかります。
もう血は固まっています。
フラーヴン:うおおお~っ! わからないぃ……。
しょうがない。状態のよさそうな死体に《死人語り/Command Corpse》をかける。
やった、成功!
GM:死体がカッと目を見開く。
3つ質問できます。
フラーヴン:「どのようなものに襲われたのだ……」
GM/死体:「巨大で黒い……あれは、トロウルだ」
フラーヴン:「数は?」
GM/死体:「ひとつ……」
フラーヴン:「どこへいった?」
GM/死体:「知らぬ……」ばったり(笑)。
そのとき雲間から陽光がサーッとさすと……。
オッゼル:「ひえー」ばっ、と顔を隠す。
GM:その光に照らしだされて、遠方でキラリキラリと神々しく輝く、金の王宮が見えました。
オッザル:「金じゃ! 行こう」
オーグムンド:「いそがしい人だな」
GM:王宮までの道にそって血の痕があります。
そして王宮の扉にべったりと血の手型があります。
入口の上には巨大な鹿の角が飾られていますが、片方しかありません。
またも人けはありません。
ブロウベル隊は「王宮の周囲を警戒する」と言っています。
オーグムンド:「ではオレたちは中を調べてみよう」
スヴァーラ:《敵の検知》します。
成功しました。
GM:反応はありません。
館は中も黄金で、陽光が反射してドヴェルグの目が痛いほどです。
しかし、床は新しい血の海で<人間知識>のチェックが必要になるようものがこびりついています。
謁見の間の玉座には美しい王冠がころがっています。
オッザル:「まさに王者の冠。
力なきものが王者であることはできぬ」拾っておく。
フラーヴン:「王が亡くなったと決まったわけではないでしょう」略奪の様子はないんですね?
GM:壊れてはいますが奪われた様子はありません。
スヴァーラ:裏口とかで、どこかに向かっている血の痕がないか探します。
GM:巨大な血の足跡が裏口から外に向かってます。
スヴァーラ:ブロウベルさまに報告「誰ひとりとして、生きているものはおりません」
オーグムンド:「ベーオウルフ王が倒したという、グレンデルの被害に似ているんじゃないか?」
GM/ブロウベル:「それではすぐにでも、ベーオウルフ王に報告しなければ」
スヴァーラ:「私はここに残って足跡を追います。
あれがまたも他の村を襲ったとき、その中に夫が含まれていたならば悔やんでも悔やみきれませんから」
GM/ブロウベル:「魔物は特別に鍛えた剣でなければ傷つかないといいます。
この地の王への献上品となるはずだった聖剣をあなたがたに託しましょう」そういうわけで、ブロウベルは船でイェーアトに帰っていきます。
☆追跡と逆襲のボレロ
GM:やがて血の足跡は、森の中に消えています。森は深くて暗く、昼でも夕闇くらいの明るさです。
オッザル:<赤外線捜索>していい? じゃ、成功。
GM:かなり向こうに、赤い影が見えます。
<聞き耳>に成功した人は、荒い息づかいが聞こえますよ。
しかしオッザル以外の人には、何も見えません。
オッザル:《窒息/Smother》をかける。
よーし、成功。
ドラウグを先行させて足止めさせよう「行け、わがドラウグよ!」
GM:ドラウグが、だだっと走ってその赤い影に跳びかかった! ちなみにほかの人には、ドラウグがひとり相撲をとっているようにしか見えないよ。
オッザル:「敵はわがドラウグが捕まえておる」
スヴァーラ:《敵の検知》成功!「あそこよ」
GM:スヴァーラの髪がびしッとドラウグの方向を向いた。
戦闘ラウンドに入ります。
オーグムンド:「困ったぞ。今不用意に攻撃すると、ドラウグを斬りかねないし……」
オッザル:「大丈夫じゃ。わがドラウグは魔法、炎、銀の武器以外では傷つかないのじゃ」
オーグムンド:へー。じゃニヤリと笑って、さっき預かった聖剣を抜いて斬りかかる「うぉーりゃー!」
スヴァーラ:聖剣は本当に大丈夫なのかなぁ。
どげしげし! ドラウグがまず化物の左腕から“姿を消す布”をはぎとりました。
オーグムンドはその灰色の両性類っぽい肌をした妖魔の手を一刀両断! 激しい闘いの末、怪物グレンデルは大量のどす黒い血を流して大地に倒れたのです。
しかし、それもつかの間……。
GM:その時突然、みなさんの背後からこの世のものとは思えないような、すさまじい叫びがあがった。
一同:「なに?」
GM:振り向くと、オッザルだけには身の丈6メートルほどの巨大な影が見える。
そしてその影が無防備なオーグムンドの背中をざっくりと斬り裂いた!背中に12ポイント。
3メートルぶっとんだぞ。
オーグムンド:ぐおー。だめだ、立てない。
オッザル:「見えない敵の、新手じゃ!」
GM:グレンデルの死体は空中3メートルほどの高さに浮き上がり、あっという間に森の奥へと飛んでいった。
オッザルだけには、例の6メートルの巨人が“見えない衣”を身にまとってグレンデルをだきかかえ、走って逃げていくのがわかる。
オッザル:ドラウグにやつを追いかけさせる。
GM:じゃあ、追いかけたと。
オーグムンドは傷を直しますね。
オッザル:「わしにはドラウグの居場所がわかるのじゃ。
案内するでついてまいれ」
オーグムンド:「オッザルどのの歩みはのろい。
オレの肩に乗ってくれ」
☆血と蛇の沼
GM:しばらくしてオッザルの目に赤く沸き立つ沼が見えてきました。
《敵の検知》のかかったスヴァーラの髪が、ぴったりと沼の中心を指しています。
オッザル:沼が赤いって、煮えているのか?
GM:40度の温泉程度ですね。
ほかの人にもナマ暖かさと生臭さが感じられます。
実際沼の水は赤い色をしていて、蛇がいっぱい泳いでいます。
沼の回りには人間の頭蓋骨が落ちていたりします。
あたりはもうそろそろ夕方です。
オッザル:「どうやらドラウグとやつは、この沼の底におるようだな」
スヴァーラ:「今日はここでキャンプですか?」
GM:そうするんですか? じゃあ(サイコロをふる)オッザル、あなたは沼から出てきた手に足をつかまれました。
こっちのSTRとそっちのSIZで対抗ロール。
オッザル:だめだ「うぉーごぼごぼごぼ」泳げない!
オーグムンド:助けに沼に飛び込みます。
スヴァーラ:身体にロープを結びつけます。
フラーヴンにロープの端を渡して「木に結んでください」
フラーヴン:木に2本ロープを結んで「スヴァーラさん予備です。持って行きなさい」
スヴァーラ:ロープをもらって沼に飛び込みます。
GM:オッザルは、巨大な生物に身体をしっかりとつかまれ、どんどん沼の奥底へと引っ張られていきます。
沼の水はひどく濁っているので、オーグムンドとスヴァーラには、オッザルがどこにいるのか、よくわかりません。
オーグムンド:「くそー、どこだー。ぶくぶくぶく」
オッザル:「がー、溺れる溺れるー」
スヴァーラ:海育ちなので大丈夫です。
GM:ではみなさん、幸運判定。
POW×3ロールしてください。
え? スヴァーラだけ成功? じゃ、あなたはいきなり空中に放り出される。
スヴァーラ:え゛?
GM:ちゃんと命綱があって、よかったですねぇ。
実は水底にとてつもなく巨大な気泡があったんですねー。
そしてその中に鱗でできた館が見えます。
スヴァーラ:ぶらーん。じゃロープを引いて合図しよう。
フラーヴン:「む?」では、引き上げる。
GM:引き上げられる前に、気泡の中へ巨大なトロウルとオッザルが飛び込んできました。
トロウルは黄金の鎖かたびらを着こんでいます。
スヴァーラ:急いでロープを切って、私も落ちます。
フラーヴン:「うわぁ、突然ロープが軽くなった……と思ったら、スヴァーラさんがくっついてない!」
GM:トロウルはオッザルをかかえたままズシンと水底におり立ち、スヴァーラをにらみつけました。
スヴァーラ。あなたはDEX3倍ロールに成功しないと、落ちたときにけがしてしまいますよ。
スヴァーラ:グシャと落ちた。……右腕をけがしました。
GM:6ポイント・ダメージで、骨折しましたね。
フラーヴン:「どうしようどうしよう」ロープに石をくくりつけて沼に投げてみよう。
しばらくしたら、こっちも身体をロープでしばって飛び込みます。
オーグムンド:うおー、まだ気泡が見つからないー
GM:オーグムンドはまだPOWロール成功してないの? CONロールは? こっちも失敗? じゃ、溺れはじめますね。
7ポイント・ダメージ。
オーグムンド:「がばごぼげべ……」
オッザル:ねえ、両手使える? なら強度3で《切開(POW)/Tap》だ! やた! 成功! POWを8ポイント吸い取ったぞ。
GM:8ポイントも? じゃ、トロウルは「ぎゃっ」とか言って、あなたを放してしまいます。
スヴァーラ:オッザルに《防護1》をかけます。
成功。
オーグムンド:「オッザルどこだー、げべがば……」
GM:このラウンドは、窒息ダメージ2d8だよ……(ダイスを振って)。
あ、よかったじゃないか、たった5ダメージだ。
今回気泡を見つけられなかったら、次3d8ダメージだからね。
一同:死ねる死ねる!
オーグムンド:18! やった。成功!
GM:オッケイ。
オーグムンドもいきなり空中に投げだされた。
真下に6メートルのトロウルと、オッザルとスヴァーラがいるよ。
☆最後の闘い
オーグムンド:「どりゃー! 死ねや!」トロウルの巨体めがけて、思いっきり落ちるぞ。
GM:それは難しい。POWの2倍以下ロールだね。
オーグムンド:でたぁっ03! 聖剣をかまえて《ベルセルクの激情》だぁっ「ぐおおっ!」
GM:まったく、死にそうになると出目が走るんだからな……(サイコロをふりつつ)。
肩口に12ダメージ。
相手はズシーンと尻モチをついた! さてみなさん。
上から降ってきたオーグムンドは、形相が変ってまるで鬼神のようです。
髪はふり乱し、牙の生えた口からは白い泡をふき、全身真っ赤になって、すさまじい高温を発しています。
一同:ひええっ!
オッザル:とにかく、怪物にとりついて《切開(POW)》! だめだ。
失敗。
スヴァーラ:オーグムンドに《防護1》で……失敗。魔力がなくなった。
GM:え、魔力がなくなったら気絶するけどいい?
スヴァーラ:そうなの? じゃあ槍で攻撃したほうがいいのかな? まてよ、いま右手が骨折で使えないから左手で攻撃……はまず当たらないか……やっぱり《防護1》だな。そしてすでに失敗している。おやすみなさい(笑)。
GM:なるほど(笑)。
次の第4ストライク・ランクで、怪物はオーグムンドに<組みうち>をしかけてくるぞ。 こっちは成功!
オーグムンド:「だあっ」だめだ。組みつかれた。
GM:じゃ、聖剣を落としたと……。
オッザル:「そのまま押えておれ!」背中から《切開(POW)》! やった、POWを10減らしたぞ。
オーグムンド:「うおおっ」腕の骨を折ってやる。
GM:それはこっちのせりふだ。
対抗ロールいくよ。こっちはもちろん成功。
オーグムンド:かろうじて、なんとか耐えた!
オッザル:「よし」もう1回《切開(POW)》!POW6ポイントマイナス!
GM:うーむ。
さしもの怪物も、大の字に倒れたよ。
オーグムンド、INTの半分でロール!
オーグムンド:(ダイスをふって)出るかンなもん。
GM:《ベルセルクの激情》にとらわれたあなたは、もはや殺戮が楽しくてしようがない。目の前にまだ動くものが見える(と、オッザルを指さす)!
オーグムンド:笑いながら剣を取って「ぶち殺してやるー!」左脚に12ダメージ!
オッザル:「正気にもどらんかコノばかもんが!」<回避>ロール失敗、重傷だぁっ。
スヴァーラ:オーグムンドがどうやってアウトローになったのか、わかった(笑)。
GM:さて、フラーヴンが予備のロープをたどってここに到着するのは、もうそろそろですね。
水底の気泡の中にでると、おぉ、オーグムンドがオッザルを襲っている上に、スヴァーラはすでに倒れているではないか(笑)。
フラーヴン:「おやめなさい、オーグムンド!」
GM:オーグムンド! 天から声が聞こえるぞ。
きみの神、オーディンの似姿をした男だ。彼がやめろと言っていて、その声に従いたい気になるけど……。
オーグムンド:だらんと、剣をおろします。
GM:オーグムンドの顔から、鬼神の形相が消えていく。
目からも狂気の色がなくなっていく……。
オッザル:「たぁすかったー」
さて、なんとか互いに傷を直しあい、怪物の館から金銀財宝を集め、その身体から“黄金の鎧”“龍の革の篭手”を剥ぎ、首を切り、そして奪われた鹿角殿ヘオロートの“巨大な鹿の角”をも見つけたのですが……。
GM:あとここには、怪物に倒された男たちの首級がたくさんもあるのですが……。
スヴァーラ:「も、もしや……」
GM:スヴァーラは夫の首を見つけました。
スヴァーラ:「あなたぁーーーー!」
オッザル:「これもさだめだったのじゃのぅ」
☆神々の国へ
GM:じゃ、みなさんはヘオロートの王宮の前まで戻ってくるんですね。
フラーヴン:鹿の角を修理します。
GM:フラーヴンが折れた角をヘオロートに取りつけると、館の中から光があふれでました。
なぜかドヴェルグのオッザルの目にもまぶしくない光です。
スヴァーラ:フラフラと館の中に入ります。
GM:そこは別世界です。
七色の川が流れています。
遥か彼方に湖があり、その中から巨大な木がはえています。
そこには黄金の鹿いて、首をしゃくってみなさんを招いています。
フラーヴン:「あれが、おぉ……、イグドラシル!」
スヴァーラ:夫の首を抱えたまま、鹿についていきます。
GM:持っていたはずの首はなぜかありません。
オーグムンドの持っていたトロウルの首と、あとドラウグの姿も消えています。
そして黄金の鹿はみなさんを、ひとりの老人のもとへと導きました。
スヴァーラ:もしや最初に小屋ごと消えてしまった人?
GM:その通りです「よう、ここまでやってきたの」
フラーヴン:それって、片目の老人ですか?
GM:そうです。
片目を隠していますけど。
あと、黄金の鎧を身につけた若い男が8本足の馬に乗ってスヴァーラのもとにやってきます。
後に2人の男が、ふつうの馬にまたがって続いてきます。
先頭の羽根冠をかぶった男が言います「きみには心配をかけてしまったね。
でもまだきみはここへは来てはいけないよ。
新しいひとを見つけて、幸せになるんだ」
スヴァーラ:「いえ、わたくしもいつかこちらに参ります。
それまで待っていてください」
GM/スヴァーラの夫:「毎日戦いが続く世界だよ」
スヴァーラ:「あなたがいるのなら、どのような世界であろうとも」
GM:男は微笑み、そっと黄金の冠をスヴァーラにかぶせます。
そして口づけをし、馬をさがらせます。
スヴァーラ:ぼーっ。
GM:すると胸に緑の樹の紋章をつけた白ひげの男が笑いながらやってきて「これをブロウベルに渡してくれないか」と、オッザルに竪琴を渡します。
オッザル:受け取るけど「お、おぬしは……?」
GM:彼は笑って答えない。
もうひとり、ショーン・コネリーに似た顔の男が近づいてくる「その懐にあるのは、わたしの王冠」そしてオーグムンドのほうに向いて「そしてそれは、私のところにくるはずだった聖剣。
渡してもらえないかね」
オーグムンド:渡そう。
オッザル:「お渡ししたという証明を、いただけませんでしょうかな」
GM:「これでよいかな」なにか書きつけをくれた。
「ベーオウルフ王には、私はこちらで楽しくやっていると伝えてくれたまえ」すると片目の老人が言います「彼らは、わしのチャンピオンじゃ。
来るべき災厄の時に、わしとともに魔物を撃つ勇者たちじゃ」
フラーヴン:「あなたは、わが神ですね」
GM:老人は静かに目を細めます。それから天の隅が曇って、雷の音が聞こえます。嵐が近づいてきたようです。老人は「トールの嵐じゃ、そなたたちは戻るがよい」と言って立ち上がりました。
そして……ふと気づくと、みなさんはヘオロートの血染めの王宮の中に立っています。
首やドラウグもいますが、スヴァーラの黄金の羽根冠も残っています。
オッザル:「その冠は、はて……」
GM:ワルキューレの冠のようですね。
さて、外に蹄の音と馬のいななきがします。
見ると、ブロウベルとベーオウルフ王に率いられた軍団がいます。
オーグムンド:「ベーオウルフ王、これをご覧下さい」と、トロウルの首をさし出します。
GM/ベーオウルフ:「まさしくグレンデルの首級!ようやった。これで汝の追放刑も解かれるであろう」
オッザル:「王さま、これをご覧ください」書きつけを渡します。
GM/ベーオウルフ:読んで「……これはフローズガール王よりのもの、さぞ無念であったろう」
オッザル:「いえ、新しい生活を楽しんでおられるようすでございました」
GM/ベーオウルフ:「そうか……」
オッザル:「そして、ブロウベルさま」
ブロウベル:「何か?」
オッザル:「ヴァルハラよりの預りものです」と言って、竪琴を渡すよ。
ブロウベル:「こっこれは、あの人の……」思わず、ぎゅっと抱きしめます。
GM/ベーオウルフ:「そうか。ともかく、そなたたちのために宴を用意し、ここで何があったのか話してもらうとしよう。まずはイェーアトに戻りゆっくり休むがよい」というところで、おしまいです。