(C)hosoe hiromi 細江ひろみ
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エンジョイ アウト オブ テーブル

 前略みなさま、いかがRPGをお楽しみでしょうか。いつものごとく囲むテーブルに喜びはあふれていますか?
 ところで、RPGを暗いと思いますか?
 オタクな趣味だなんて思ってますか?。
 ねんがら年中同じテーブル、同じメンバーではマンネリだのオタクだの暗いだのと言われても、かえす言葉がありません。
 ではRPGをアピールしましょう。
 どうやって?
 いろいろあるじゃあ、ありませんか。

文化祭!! ここは押さえろッ!

   ちょうど季節は文化祭。場所は学校が提供してくれるし、ハイな気分で人は集まってくれる。こんなおいしい機会はそんじょそこらにはありません。RPGを世に広めるチャンスです。
 とはいえ、だーれもいない教室に、数枚の模造紙。一面に書かれた文字、文字、文字。これでは、たとえそれが、斬新な切り口、ぐいぐい読ませる文章によるTRPG評だったとしても、私はそこにTRPG評が書かれているなんて、気づきもしないでしょう。
 文章だけにかぎりません。なんだろうとアピールするなら、受け手について考えなくっちゃ。たとえお金を貰うわけではなくっても、受け手がお客さんです。
 お客さんに受けを強制することはできません。受けてこそ、あなたの表現のための努力がカラマワリではなかったことの証明となるのです。

ポイントその1 「受けこそ命」

 たとえば、ゲームデザイナーを呼んでマスターをしてもらうことを考えてみましょう。
 え? たかが高校の文化祭に、デザイナーが来てくれる筈がないって? どうしてあきらめるんです?
 もしかしたら来てくれるかもしれないじゃあ、ありませんか。

ポイントその2 「やってできないことはない」

 冴える頭脳、有能なスタッフ、膨大な費用、制作期間何年、華麗な飾り付け、豪華なゲスト、徹底した宣伝。それら全てを手に入れることは、誰にもできません。
 しかし、どんなにたやすく成功しそうな企画でも、考えただけでは実現しないのです。そして、ささいだろうが、とんでもないものだろうが、障害を乗り越えなければ何事も実現しないのです。

ポイントその3 「やらずにできることもない」

成功のための秘訣と実例集

 でも、何をしたらいいんだッ!
 RPGの企画なんて思いつかないぞッ!
 という人も多いと思います。まだまだ先例が少ないんですから、それも仕方ありません。
 そこで、ほんの一部ですが企画の実例を上げてみましょう

 アイデア:目新しいか?
 労力:人手は必要か?
 費用:金品が必要か?
 才能:芸のある人材が必要か?
 自由度:お客さんは、気軽に入れるか?

 最低1つ☆から、最高5つ☆で表わしてみました。

●展示による発表 総合評価☆

 研究論、比較論、自作システム、それらを模造紙に書いて壁に貼るという、ごくオーソドックスな発表方法です。
 本来、なにを研究するのかがメインテーマとなるはずですが、なにかを人に伝えたいと考えるなら、もっと受ける方法を選んでください。
 構成やイラストに凝る(こっちを重点にすれば、どうにかなるかもねぇ)ことによって人目を引いた上で、その素晴らしい内容にうならせることが出来るのならば、印刷物(同人誌)の方がいいでしょう。お客の反応を見たいのならば、講演で語ることをお薦めします。
 お客を束縛しないから、自由に見に入ってもらえるかもしんないけど、そのまま出ていっちゃう可能性大。ほんの数分でも束縛したほうが、発表を真剣に受け取ってもらえるものなのです。
 俺の意見を聞いてくれッ!
 あんたの考えを聞かせてくれッ!
 という覇気がないのです。
 これだけでやるなら、空気のような企画です。

●展示による、RPG紹介 総合評価☆☆

 各種RPGシステムやメタルフィギュア、プレイ風景のスナップを中心とした展示。
 展示品を、のちのちクラブで使用するつもりで文化祭予算で購入するって計画なら、おみごとッ!
 あんたは偉い、そりゃ立派。
 問題は展示品購入のために文化祭予算が出るのか? という点でしょうねぇ。出たとしても、見栄えがするほど展示品を買い込むのは、まず無理。
 となると展示品は有志の持ち込みが妥当な線。
 それでも、市販の商品を量を揃えて、見栄えよく展示できて、そのうえ自由に手に取れるならば成功すると思いますよ。とくに、あなたがたにとって自分の持っていない物をじっくり見れる機会となるはず。
 ……そうなんです。一般の人へのアピールもそこそこあるけれども、それよりもRPGファン、あなたがたに意味を持つ企画なんです。
 これをじっくり見たいというお客も、すでにRPGファンである可能性が大。だったらこっちからも話しかけて、今後の遊び相手を拡大するのが得策でしょう。
 それに、どっちにしろ高い物を展示する分、部屋には誰かが常駐することになるんです。
 破損、紛失には厳重に注意。問題が起きたときにどうするかを決めておき、かならず部屋には担当者を残し、文化祭が終わった後も、集めた品を持ち主の手に戻すまでは気を抜くことができないでしょう。

●RPG公開プレイ 総合評価☆☆☆

 つまりは人前でプレイして、それを見せ物にするんです。いつものRPGシステムに、ダンボールで作った巨大サイコロ。(となると、6面を使うシステムに限定したほうが、いいでしょうね)
 見せ物だから、テーブルを囲んでのプレイじゃなくって、マスターもプレイヤーも客席に向かって横一列に並び、マップ等は黒板を使う「笑点方式」(ゲームデザイナー山北氏の命名)。
 1話完結1時間。期間中何回かプレイすることになります。開始時間と終了時間を部屋の前に張り出して、その通りに運営することが、とっても重要。いつ始まるか、いつ終わるかがわからないんじゃあ、見てみようっていう気になりません。
 一種のトーク劇ですから、一般の人へのアピール度は抜群です。
 ただ、鑑賞に耐えられるプレイをしてみせるには、マスターにもプレイヤーにも、それなりの才能が必要になってきます。
 台本を作っておいて……、なんて考えてもだめですよ。演劇とRPGの「面白さ」の質は違いますからね。

●フリープレイ 総合評価☆☆☆

 今ではどこでも見かけるフリープレイ。その場所が文化祭開催中の学校となっただけじゃあ、つまんない。楽しんだのは、RPGファンだけだった。ではいつもとかわりません。それに、宣伝に力を入れなければ、メンバーだっていつもの人ばかりになっちゃいます。
 サイコロからチャートまですべて用意しなければなりませんが、いつも使っているモノで充分です。
 ただし、プレイがいつ終わるかのスケジュールもはっきりしていなければなりません。プレイに時間が掛かるんじゃあ、一般の人は敬遠してしまいます。
 才能を持ったマスターの確保が、最重要課題となるはずです。

●トーナメント対戦プレイ 総合評価☆☆☆☆

 RPGの戦闘ルールだけを抜き出して、勝ち抜き戦をするという、シンプルな企画はいかがでしょう。
 さらに、ちょっとした賞品(葉書サイズの表彰状に、何人勝ち抜きましたと書いてあるだけでも)や記念品(使ったキャラシート)を渡すようにするだけで、盛り上がり方もかわってきます。
 それに、これは一般の人にとってもなじみが深いんですよね。コンピュータRPGの基本だもん。
 だから、RPGのロールプレイの分がアピールできないっていうのが辛いわよねぇ。でも、そこそこ受けるでしょう。
 1試合ごとの時間を掛けないことが秘訣。

●ライブRPG 総合評価☆☆☆☆

 校内全域を使って、コスプレしたNPCを配置して、お客はPCとなってうろうろしながらシナリオクリアを目指すのが基本です。
 コスチュームプレイは目だつのでアピール度満点、シナリオを超カンタンにするのがコツです。
 PCがポーズをつけながら戦闘する「トーナメント」だとか、実はコスプレしたNPCがスタンプを持って移動しつづける「スタンプラリー」がお薦め。なにかのついでに、ライブRPGに参加してもらうのが、文化祭ではベストなのです。
 お客に才能や労力を求めてはいけません。お客に求めるものが多すぎると、敬遠されてしまいかねないのです。

●そのほか

 パネルディスカッション(誰が何を討議するの? あなたはそれを見たいと思う?)、RPG替え歌カラオケ(わかる人にしかわからない)、オリジナルRPGシステムの発表とプレイ(たいがい受けない)、などなど。
 いや、なかなかたいへんですねぇ。RPG専門コンベションならいいんだけど、文化祭となるとねぇ。
 余裕があるなら、いくつかを複合した企画を立てるといいんですよ。