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世界についての妄想

写真の普及率

 RYGS邸には、なんか記念写真っぽいものがある。
 ディーンの家にもポスターがあるし、ブロマイドもあるけど、個人が撮影するのは、あまり一般的じゃないんじゃないかな? ライラベルやトゥェールビットあたりだけの話で。あとかろうじてゴウノンあたりで、結婚式などの特別な時に、ゴウノンでも写真店が経営できるほどの需要はなさそうだから、小金もちが趣味で持ってて、特別なときだけ引っ張り出すみたいな。
 デジカメだけで、プリントアウトはライラベルまでいかないとできないとかかもしれないし、現像するにしてもフィルムも印画紙も現像用薬品も入手が難しい。が、ここらへんゴウノンだからこそ、かろうじてできる可能性が、ないではないような気がしないでもない。
 あとは、機材を全部持ち歩く、渡り鳥の写真屋。
 そういう写真屋がくるのは、サーカスがくるのと同じぐらいの騒ぎだったりして。
 
 
 ともかく、あのパーティメンバーの中で、グレッグが自分の写真を持ってる可能性が高いと思う。
 メリーさんとの結婚式の写真とか、テッドが生まれた時の写真とか、スナップなんかないから、記念写真。
 いやグレッグは、賞金首のポスターがあるし、チャックもパスに写真あるけどな。
 

 ……どこでどうやって撮影したんだろうな、グレッグの手配書の写真。
 あの写真が出回る前、一時的に結婚式のにやけた顔が切り出されて出回ってたら、大笑いだ。

 

ライラベルにある喫茶店の店主を通して見る、普通のベルーニの状況

 テレビ局の近くの裏通り(といっても暗い感じはしない)にある、ベルーニの家族が経営する小さな喫茶店。
 幸運に恵まれた、普通のベルーニの家族だ。
 店主はディーンとその仲間たちをUbから家族を救ってくれた命の恩人と思っていて、ニンゲンにも好意的だ。

 Ubによる急激なベルーニ人口減により、ニンゲンを支配することがベルーニにとって負担になっていた。
 ニンゲンの支配は、当然ベルーニが行う。他のどんな仕事をニンゲンにさせてもかまわないが、こればかりはベルーニがするしかない。
 ニンゲンに対する強制労働ほどあからさまではないが、ベルーニにこそ実質職業選択の自由など残されておらず、一般ベルーニの大半が徴兵された。徴兵をまぬがれたのは、情報局やバスカーの、それも主要メンバーのみである。

 これは、兵士以外の職が、ニンゲンに解放されたことを意味する。
 ゴウノンのようなほっといてもいい場所はほっとき、ミラパルスのような場所でさえベルーニ兵士が常駐することはない。いや、できなくなった。
 ライラベルのようなベルーニの街ですら、商業活動の担い手はニンゲンの手にうつっていった。トゥエールビットでも、兵士以外のベルーニを見かけることは難しくなった。それどころか、RYGS邸ですらニンゲンのルシル以外の奉公人の姿を見ることができず、単純労働をレイドバスターが補っている。

 この過程でもっとものし上がったのがナイトバーンだった。
 本来ベルーニが担うはずの治安維持、そして採掘場の管理。それさえニンゲンの手に、ナイトバーンに開放した。それがゴーレムハンター・ギルドであり、ポンポコ山だった。

 喫茶店店主の妻と子が、あいついでUbに倒れた時、彼は妻子に付き添うことを望んでいた。そして妻と子もまた。
 しかし店主は、妻と子をロクスソルスの療養所に入れたいと考えた。しかし療養所はすでにいっぱいで、コネか金がなければ、入ることができなかった。
 援助してくれそうな親類縁者はみな、すでにUbに倒れるか、亡くなっていた。
 さらに徴兵された。徴兵を拒否すれば、結局奉仕活動に駆り出される。
 彼は兵士になって金を貯めるしか、選択肢がなかった。
 あともう少しで子どもだけでもロクスソルスに、というところでダークネスティア~ニンゲンの独立といった事件が起きたのだ。
 Ubへの対処法も、あきらかになった。
 結局、彼の手にには妻子と貯えが残ったのだ。

 ニンゲンが独立したことで、ベルーニはニンゲンを支配する必要がなくなった。
 彼は妻子と共に過ごす時間を増やそうと兵士をやめ、貯めた金を元手に、ライラベルに小さな喫茶店を開き、今にいたっている。
 店主が入れる美味いがバカ高いコーヒーと、奥さんが焼いている、こってり甘い自家製の焼き菓子が評判の、量より質の店。
 モーニングはリーズナブルな価格設定だ。
 ライラベル滞在中、チャックはこの店にモーニングを食べにやってくる。ただし、量的にはちょっと物足らないため、二人前か、トーストWで。また日中、ときおりレベッカやキャロルに拉致られて、ここで奢らされている。
 レベッカ、キャロル、デュオグラマトンの三人が、お茶している風景を見ることもできる。

 

ベルーニ以前

 ベルーニが来る前はよかった、と言うセリフを町キャラから何回か聞くことができる。
 幸せにやっていたと。
 だが、ベルーニが来たのは100年前。
 ニンゲン側で年齢が確認できる最高齢者がトニーじいちゃんだし、平均年齢は100を越えることはないはず。となれば、ベルーニが来る前はよかった、というのは経験に基づいたセリフではないのだろう。

 では、どんな生活だったのか?  農耕&狩猟が生活のメインだ。
 ARMはないが、魔獣もベルーニの影響で凶悪化したのだから、差し引きゼロと考える。
 金属加工技術も、あまり期待できない。というのも、古代において資源は使い尽くされ、その残骸を掘り起こして再加工・再利用するしかないからだ。
 そうしたスクラップの使い勝手が、どこまでよかったのかはわからない。そのまま使えるものもあっただろうが、ゴーレムレベルになると、丸ごと残っていてそのまま稼働するもの以外、文明を捨てたニンゲンには難しいんじゃなかろうか? しかも古代穏健派がそれを捨てたとなれば、残っているものは強硬派の物。魔獣扱いのゴーレムっぽいのは、古代強硬派が残した自動防衛装置かもしれない。

 いや埋蔵スクラップ資源については、原料の確保より、再加工のためのエネルギーの確保しにくさの方が問題だ。
 化石燃料は使い尽くされているだろうし、そのために燃やせるほどの薪も確保できないだろう。原子力や太陽光エネルギーを使う技術など、ニンゲンは失っていたように見える。
 バイオ燃料(モノホイールの植物油など)や、風力ないし水力発電(あまり規模は大きくなさそうだ)が、ニンゲンの文明だったのか、ベルーニが持ち込んだものなのかは、微妙なところ。
 とりあえず灯とテレビの電源ぐらいは、風車や水車で確保してるんじゃなかろうか?
 ライラベルのドームは、もしかしたらUb対策のためじゃなくて、太陽光発電のためのものなんじゃないか? ザブングルのイノセントのドームと比べても、疫病対策にしては甘すぎるし。

 材料を手に入れたれたとしても、加工用エネルギーが確保できない状況で、ニンゲンは鍋や農機具以上の金属製品を作ることができたのか?
 特に銃といった武器のたぐい。
 エネルギーがあって、大量生産ができないと、銃を作るコストは高くつく。一挺ごとのハンドメイドだ。
 ある程度数を作ることができて、需要があったとしても、流通が弱いため、需要に対して供給が難しい。渡り鳥の旅商人が馬車を使って売り歩くことしかできない。
 多少は完動品を発掘できたかもしれない。超強力な特別な武器や道具として。
 そしてミーディアムは、世界に6つしかない。これは、あてにできる数ではない。
 発掘品もミーディアムも、いずれにしろ古代文明のしろものだが、誰でも手にできるものではない、ということになる。
 ベリーは荒野に生えているが、量産&安定供給は難しいのだろう。

 ベルーニがいなかった時代、狩猟と農耕で自給自足。鉄道なし。テレビ(情報)なし。ショップで売られているものの大半もないかもしれないし、ショップそのものがないかもしれない。
 たぶん着るものも、すべて一点物。そ傾向は今でもある。ベルーニの防護服のような大量生産品はない。ゴウノンレベルで、やっと専業の服職人が存在して、町長やジョセフが着ていたような服を作っているのではないだろうか? 既製品はない。

 もちろん、ベルーニが持ち込んだものに代るものや仕組みは、ある程度あったはずだ。
 今はベルーニが持ち込んだものに押されて、ニンゲン独自のものが無くなってしまっているとしても、昔なりの、ニンゲン独自の豊かさを支える物が、いろいろあっただろう。
 単純に引き算はできない。

 

ヘクスクリーナー

 チャックが村を出る頃、TFシステムの稼動実験と、それによる砂食み病は、テレビで報道されることなどなく、ニンゲンだけでなく一般ベルーニですら知るよしもない。
 が、影響は出始めていると思う。
 病気だけでなく、各地の収穫量も落ちてきているはずだ。
 魔獣の活動が活発化し、ゴブが村を襲うのも、荒野で餌が得られなくなりつつあるからだとしたら、どうだろう?

 もし一定レベルいかないと、ミーディアムの効果がはっきり出ないとしても、周囲がわずかでもその影響を受けるとしたら?

 疫病神は、同時に厄除けの神でもある。
 いくつもの農村が崩壊した地方で、ハニースデイは生き残った。
 立地条件や規模も影響しただろうが、もしかすると月ミーディアムの存在は、ハニースデイに良い影響をもたらしていたかもしれない。
 チャックが村を出ると同時に、それは失われるわけだが。
 ……知ったら知ったでまたチャックが落ち込みそうな話。

 

ゴブ

 古代強硬派が宇宙に出た後、古代穏健派がさらに強硬派と穏健派に別れ、それがニンゲンとゴブになっていった……。なんて思って見た。

 自然回帰原理主義と、少しは文明残しとこうよ派の、どっちが強硬派でどっちが穏健派だったのか、どっちが今のニンゲンなのか、わからないけど。

 けど、ニンゲンとゴブが歩み寄れるかどうか、ニンゲンからゴブがどんな風に見えるか考えると、ベルーニとニンゲンの係わりも、また違って見える。ゴブとの結婚、ゴブと対等な関係、ゴブとのハーフ……。

 壁は高くて厚そうだ。