世界についての妄想
スゴイ級ベルーニ
うちでは、ファリはルシルと結婚し、、ディーンの四天王の№2に収まって、ベルーニとニンゲンの壁を越えた象徴として、テレビへの露出度も高い人気者です。
ヴォル政権№2だったことは、うやむやになっています。
というか、うちの場合、ルシルを幸せにしたいチャックが、力技でそういう立場に押し込んだ。
ファリとしては、単身ならともかく、ルシルの夫となったからには、確かにそれはありがたい。
ディーン政権としても、当面ベルーニ側の事情通で、かつ顔が効く人材は手放せない。
けど、ファリとしては納得いかない部分もあるわけで。
ファリとしては、ヴォル様と一蓮托生で罰せられて当然という意識がある。
なのに、最後の最後でヴォル様から離反したこと、とか。
ヴォル政権№2だったのに、それは本当に不問でいいのか、とか。
不問でもかなり過ぎた厚遇なのに、新時代の象徴として、むしろチヤホヤされる、とか。
融通が利かず真面目にすぎ、けれど素直なファリは「ありがたいことだ」と思うだろう。
チャックに、「キミが地位を保つことが、後々ヴォルスングのためにもなる」なんていわれたら、すっかり信じるだろう。
それに、チャックだって本気でそう言っている。ヴォルを擁護するなら、擁護する者の立場は、強いほうがいい。
けれど「これでいいんだろうか?」という想いは、拭うことができない。けれどその想いを、自ら打ち消す。
今の幸せな立場は、否定できない。
自分とルシルが、ヴォル両親のような運命をたどることは、絶対に避けなければならない。
ルシルのためにも、ヴォル様のためにも。
この立場に自分を据えてくれた者たちのためにも。そして政策上の点からも。
ファリは軍人だ。
軍人として堂々とすることはできても、政治家ではない。特に劇場型の政治家とは程遠い。
それから、周囲からの「子どもまだ?」攻撃。
ファリだって、子どもは欲しいと思う。
あれ、絶対子煩悩になるタイプじゃないか?
けれどヴォルが特別だったことは、ベルーニとニンゲンの間に子どもが生まれにくいってことだろう。
話は飛ぶ。
ダイアナばあちゃんと孫のファリって、なんであんなに年が離れてんの? ということ。
ここから完璧な捏造設定を妄想する。
RYGS一族は、もっと沢山いたけれど、Ubと内部抗争で、ダイアナとファリだけになってしまったと。
これが「闇夜」の設定だ。
まずベルーニの軍って、何と戦うための軍だったの? ということ。ベルーニ同士で内部抗争する以外、戦う相手がいない。
そして戦いがあったから、軍と、強い軍人や、その家系は存在し続けた。
それ以外に、そういうものが弱体化せず存在し続ける理由がない。
ファリの家は、優秀な政治家や軍人を輩出する名家だと、公式設定にもある。
政治家はともかく、ベルーニの社会は、常に優秀な軍人を必要とするシステムであり、ベルーニ同士の戦いは珍しくなかったのだろう。
それこそヴォルが、穏健派を力で一掃しても、むしろしたからこそ、政権交代が認められたのだろう。
もちろんこれは、浄罪の血涙事件とは、質的に違う。たとえクレイドルにいたのが、穏健派ばかりだとしてもだ。
もしディーンが、力でヴォルを打ち倒しただけで、浄罪の血涙事件が起きてなかったら、ヴォルは罪に問われなかったと思う。
そしてヴォルがディーンを救ったことで、ヴォルもディーンというニューリーダーを認める形にもなっている。
話を戻し捏造設定。
ダイアナには数人の子どもがいて、もっとたくさんの孫がいた。
ファリにも兄弟姉妹がいた。ファリは末っ子だ。叔父叔母や甥っ子や姪っ子もたくさんいた。
けれど、UbとヴォルをめぐるRYGS家内の対立抗争で、ついにダイアナとファリだけになってしまった。
また話は飛ぶ。
ベルーニには、艦長や四天王のような、スゴイ級と、普通級がいるように見える。
スゴイのは、戦闘力に限らず頭脳系もいるが、大体両方は兼ね備えられる。
RYGS家のような名家があるからには、その形質は遺伝するのだろう。
ペルセフォネも、その姉も、情報系のスゴイ人のようだ。
そして妄想設定。
だが、形質は必ず遺伝するわけではないはずだ。それなら優秀な形質は、全ベルーニに広まるはずだ。
RYGS家の、卓出した男子が受け継ぐガンナーズヘブンも、「名家に生まれた子が、必ずしもスゴイわけではない」ということかもしれない。
女は直系を残すのが仕事。
男は種はばらまけるけど、RYGS家は母系。
ダイアナとファリだけになったときに、だからダイアナが、当主だった。
男系だったら、その時点ですでにファリ。
ダイアナがRYGS家の嫁でもファリ。
あるいは、名家だと一族内結婚が普通だった、でもいい。濃い血はスゴイ級を生み出しやすくなる。が、ばらつきもまた大きくなる。
ついでに、ますますニンゲンと結婚したヴォル父は、ケシカランということになる。
正妻持って家庭を構えるスゴイ級ベルーニ男性、というのは珍しいのかもしれない。教授も艦長も独身っぽいし。
優秀な者を産み育てることは、名家の一つの義務となる。
スゴイ級の男は、種をばら撒くのも仕事。
ばら撒いた種が、スゴイ級として芽を出すかどうかは運次第。生まれた子どもは母の手元で育てられる。
だけど、とにかくスゴイ級男ベルーニは、種馬としてモテモテだ。
もしばら撒いた種の中からスゴイ級が生まれたら、新しい名家の祖となる。けれど大概は、一代で終わったりするんだけど。
カルティケヤなんか、そうやって生まれたスゴイ級か、隔世遺伝のスゴイ級だったり。
スゴイ級ベルーニは、遺伝子操作で自由に作り出す、というところまでには、いたってない。
ともかくベルーニのスゴイ級は、ベルーニにとっても貴重な人材なのだ。
けれどUbは、スゴイ級も普通もお構いなしに、蝕んでいった。
その上ベルーニ同士の抗争があれば、スゴイ級同士がぶつかり合い、潰しあう。
ヴォル父は、ニンゲンの女を娶って正妻に据えた。
それだけでもケシカランのに、妻に操を立てて種もばらまかなかった。
ニンゲンとは子ども生まれにくい、あるいは生まれても育たないのに。
けれど、ヴォルが生まれた。
しかも、スゴイ級の形質を持っていた。
希望の子の誕生だ。
Ubの影響を受けないニンゲンと、ベルーニの間に子どもが生まれ育つなら、ベルーニはニンゲンが持つ、対Ub形質を獲得できる、かもしれない。
けれどヴォル父は、ヴォルを実験動物として、提供しようとはしなかった。
ヴォル父を暗殺しても、RYGSが横槍を入れて保護た。
そしてヴォル暗殺事件。
RYGS邸が攻略されたのは、一族の者が手引きしたからであり、この事件はそのままRYGS家の内部抗争でもあった。
そういうことがいろいろあったにしても、あの時代、まだスゴイ級が少な過ぎはしないか?
だからこそ才を発揮したヴォルスングが、トップに登りつめられた。
艦長みたいな穏健派がいたら、それも無理だろう。
もちろんヴォルも、穏健派にいたスゴイ級ファリ、ペルの2名、強硬派の教授を、事前に自分の手元に引き入れているのだが。
カルは、ノンポリで。
けど、穏健派に艦長以外のスゴイ級が残っていた様子はない。
ヴォル暗殺事件時の、穏健派同士の抗争は、スゴイ級同士のぶつかり合い、だったのではないか?
そのせいで、Ubのため宇宙療養生活だった艦長を除き、RYGSを中心とする穏健派スゴイ級は、人材的大ダメージを受けたのではないか?
ヴォルを護ろうとした側も、ヴォルを殺そう(Ub対策の研究のためなら、みじん切りにしてもかまわん派)とした側も。
主権は握っていたものの、日々強硬派に押され、Ubという災いに何一つ対策を打ちたてられず、悶々としていた穏健派の、起死回生の暴走。
スゴイ級という人材のうち多くを失い、しかも穏健派ながらRYGSの生き残りスゴイ級との間にも、軋轢がうまれる。
それでも穏健派が政治面で粘れたのは、宇宙から艦長が、睨みを利かせていたからだ。
けれどその艦長も、ヴォル擁護派。
ファリはスゴイ級だけど、まだ子ども。
ダイアナは高齢で、Ubを発症している。
ファリ両親は、もしかするとスゴイ級ではなかったのかもしれない。
ヴォル自身は失踪。
で、強硬派のスゴイ級は教授。
もっともUb対策発見に近いベルーニ。
むちゃくちゃ危ういバランスのところに、ヴォルが強硬派として現れ、穏健派からスゴイ級をヘッドハントして、穏健派も粛清して、トップに立った。
誰が見ても、ヴォルはスゴイ級。
しかも戦闘力と頭脳を兼ね備えた万能タイプ。
また話は飛ぶ。というか、戻る。
ベルーニ社会の安定のためには、一定数のスゴイ級が必要なのだ。
それが減るから、人材がちょっと移動しただけで、不安定になる。
通常、人々を先導するジョニーも、スゴイ級で。
というわけで、ヴォルがスゴイ級だったことが、周知の事実だったことも、ルシファリが世間に認められる要因の一つにはなった。
が。
「子どもはまだ?」
その上、
「ファリは、ニンゲンの嫁に遠慮せず、種ばらまけよ。それが名家の男の義務だろ」
という世間の圧力。
ついでにチャックがRYGS邸に出入りすることによる、
「嫁が浮気して、ニンゲンの子を産んだら、どうすんだよ」
という無責任な影の声。
ルシルも、子どもを欲しがっている。
経済的理由で子どもを一人か二人にしておく必要がないことを、喜んでいる。
でも、そんなに簡単に異種族になりかけていたベルーニとニンゲンとの間には、子どもはできにくいし、できたとしても問題は山積みだ。
ファリはチャックのことを、過大なほどに評価し、尊敬している。
世話になりまくってるし、恩人だと感謝している。
ルシルの件は、本当に申し訳ないと思っている。
ファリは、相手の地位や立場や年齢などかまわず、自分が認めた相手を尊敬し、尊重する。
けれど、上下関係と友人関係を両立させるのは、苦手なのだ。
ダイアナとの関係もそれに近く、家族というより、上下関係になってしまっている。
たとえばチャックならば、やはり年下の、しょっぱな自分に憧れたディーンが、ジョニー・アップルシードになろうが、上下関係と、チャックなりのだが友人関係を両立させるだろう。
ファリドゥーンも、チャックとは対等であろうとした。
けれど現実的には、立場は違うのだ。ファリの方が、ずっと偉い。
けれどファリは、上下関係と友人関係を両立させるために、対等と思おうとした。
でも違うのだ。
その上、そのファリの立場は、チャックによって用意されたものだ。
自分と妻との主体が、チャックによって脅かされていた。善意でもって。
チャックがそうしたことは、必要だったけれど、間違いなのだ。
ある線を越えたら、引くべきだった。
自分の幸せを、他人の上に描こうとするところまで、行く前に。
けれど、チャックは引けなかった。
RYGSの血統問題について、ルシルがどう考えていたのかは、わからない。
気が強そうだから、そんなの嫌だとはっきり言うかもしれないし、ベルーニの慣習として受け入れるかもしれない。
けれどチャックは、ファリの浮気は許さない。
複合した、多大なストレス。
そしてファリは、ある日チャックとの関係を壊すことで、現状を打開する。
妄想です。捏造設定妄想。
うちサイトの、セレスドゥシリーズのラインにのみ通用する妄想です。
妄想濃くなりすぎだから、もっと本編沿いの話か、まったく別ラインの根本的な解釈や設定が違う二周目シリーズ動かすとか、したほうが、脳内煮詰まるよりいいとは思うんですが。