(C)hosoe hiromi
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ふぁー

 たたたと走って、けつまずくのは、キャロルにとっては日常茶飯事。
 その結果、チャックの胸に飛び込むことになったのは、単なる偶然。
 とりあえず転けずにすんで、運が良かったはずである。
 顔を突っ込んだところも、これまたあつらえたように、彼の胸のファー。
「大丈夫かい?」
 笑いながら、チャックはそのまま固まっているキャロルに声をかける。
 とたんにキャロルは、バネ仕掛けの人形のように飛び退いて、そのまま尻餅をつく。
「チャックさん!」
「なんだい?」
「それ、臭いです。ものすごく」
 革のジャケットにくっついているファーだから、洗えるもんじゃない。
 しかも位置的に、食べこぼしなんかも、つきやすい。
「まあ、そうだろね。慣れちゃったけど」
 こうしてチャックは、またもキャロルに叱られた。

2011/01/02
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