(C)hosoe hiromi
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セレスドゥの本気

「ミーディアムの新しい効果について、アドバイスが欲しいんだ」
「新しい効果だと?」
「セレスドゥのパワーアップバージョンさ。敵の力を徹底的にそぎ落とす。ただ使い勝手が悪くてね」
 チャックに頼まれてて、グレッグは一緒にテレビ局に向かった。
 スタジオで本物そのままの魔獣相手に、模擬戦をすることにしたのだ。
 最大パワーで作り出された魔獣の群れが、チャックとグレッグを完全に囲む。
 だが、予定通りだ。
 やがてチャックが、セレスドゥの力を解放する。
 勢いこそ激しいものの、見かけはセレスドゥと変わらない。
 集められた負のエネルギーは、チャックの導きにより天空の月へと導かれ、それは災厄の矢となってチャックを穿つ。
 負のエネルギーがまき散らされ、フィールド内の全ての敵の力を、すさまじい勢いでそぎ落としていく。
「と、こんな感じさ」
「なるほどな」
 一目で、一匹残らず魔獣は完璧に無力化されたとわかる。
 今二人の周囲にいるのは魔獣ではなく、やるせない猫の群れだ。
「使い勝手が悪いってのは、どういうことだ? こうなったら、どうやったって、こっちの勝ちだろう」
「キミはアレを攻撃できるかい?」
 グレッグは黙り込む。
 できなくはない。
 見た目が変わっていても、今は無力化されていても、あれは魔獣だ。
 だが、どうしてもARMを向ける気にはならなかった。
 やるせない猫化した魔獣の方は、一応そのあるんだかないんだかわからない爪で、やる気のない攻撃をしかけてくる。が、ブーツの先に子猫がじゃれているのと変わらない。
「素手で捕まえられそうだな」
「汚染フィールドに足を踏み入れたら、キミもやるせない猫化するよ」 
「なら、お前が捕まえろ。ステータスロックされてるんだろう?」
「ヘクスクリーナーも発動中さ。踏み込んだとたんに、汚染が浄化されて、やるせない猫が魔獣に戻る」
「ステータスロックはされているが、ヘクスクリーナーは使えないヤツが必要だな」
「捕まえたとしても、フィールドから連れ出せば、やっぱり魔獣に戻る」
 グレッグとチャックは顔を見合わせて考え込んでいたが、そのまま戦闘を放棄した。

2010/07/01
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