(C)hosoe hiromi
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キャロルとやるせない猫

 レベッカは、水汲みから戻ったキャロルが、ものすごく落ち込んでいるのに気がついた。
 そのキャロルの後ろで、オロオロチャックが、慰めてんだか、謝ってんだか。
「チャックさん。気づかってくださっているおつもりなら、あっちへ行ってください」
 怒ってもいるようだけれど、今日は説教する気力さえなさそうだ。
 追い払われたチャックに、ヘラヘラと視線で助けを求められる。
 レベッカも事情を知りたくて、何も言わずにチャックを物陰に引きずり込んで、問い詰める。
 キャロルのフォローに回るにしろ、先にこうなった原因を、聞いておいた方がいい。
「何したのよ」
「いや、さっきキャロルとボクとで水汲みに行っただろ。その途中魔獣と出くわして、ボクはいきなりやるせない猫化しちゃったんだ」
「それでキャロルが、危険な目にあったってわけ?」
「いいや。キャロル一人で、楽勝だったよ。ただ戦闘が終わっても、ボクの猫化が解けなかったのさ」
「大変じゃない」
「それもすぐ戻った」
「なら別に問題なかったってわけよね」
「ただ戻る前に、キャロルは猫化したボクのお腹をムニムニしたんだよ」
「わかるッ! あたしだって、やるせない猫化したみんなを、ムニムニしてみたくてたまらないもん。いつもは戦闘中だけだから、そんなヒマないのよね」
「ただ、ムニムニされている最中に、ボクは元に戻っちゃったのさ。あはは」
 レベッカは、その状態を想像して、絶句した。

2010/05/01
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