怒られるのは、慣れている。
子どものころは、ケントと一緒にしでかして、毎日みんなに怒られた。
父さん、母さん、そしてルシル。
村の婆ちゃん爺ちゃん、おっさんおばさん、兄ちゃん姉ちゃん。
ナイトバーンにも、もちろんさ。
何度も拳固を落とされたし、尻も赤くなるまで叩かれた。
お説教が始まったなら、神妙な顔つきで謝るのが、一番早い。
一番勘弁して欲しいのは、ゴハン抜きの罰だった。
父さんと母さんはいなくなり、
ケントとルシルとは離ればなれ、
そしてボクも村を出た。
今ボクを怒るのは、七つ年下の女の子。
ボクが何かやらかすたびに、ボクの名を叫び、ボクの手を引く。
精一杯背伸びしながら、小さな指先を突き付ける。
頬をふくらませての一生懸命のお説教は、一つ一つもっともだ。
彼女の一生懸命に応えるべく、一生懸命謝るけれど、なかなか許してもらえない。
きっと、たぶん、間違いなく、またすぐボクがやらかすからだろう。
彼女は最近まで、人見知りが激しかったそうだ。
けれど今、仲間たちに懐き、本物の笑顔を向けている。
そしてボクにはお説教。
その間ボクは、キミを独占しはするけれど、笑顔はおあずけであるらしい。
ボクなりに、期待に応えようとしたんだけれど、
ボクはキミを、怒らせたり悲しませたり、あるいは呆れさせてばかりいる。
キミを幸せにできるのは、キミと本物の笑顔を交わせる人だから、
だから、ゴメン。キミを幸せにする人は、どうやらボクではないらしい。