昔の嫌な想い出とともに、そのとき感じた怖れと不安がよみがえります。
怯え暮らしていた場所から飛び出して、やっと怯えることから抜け出して、優しく強い人々と出会い、前を見られるようになったはずなのに、今でもふいに恐くなります。
それだけでなく、自分とは直接関係なさそうな、ほんのちょっとのキッカケで、私の中にドロドロとした黒いものがあふれ出すのです。
それだけでなく、苛立ったり、腹立たしくなったり、恨んだり、嫉妬したり、そんな扱いきれない嫌な感情が膨らんでいくのです。
今は素晴らしいお父さんや友だちがいて、不幸せなことは一つもない。
なのにどうして、こうもいとも簡単に、私はイライラしはじめるのでしょう?
みなさんに、充分可愛がっていただいてるのに、一人取り残されていくような不安を感じるのでしょう?
「それって普通じゃないかい?」
では、チャックさんもそうなのですか?
「もちろんさ。そしてひどく自分が情けなくなるよ」
それとは違う気がします。
「そりゃあ、まるっきり同じとは言わないさ」
チャックさんに正論を言われたのも腹立たしくて、私は口を閉ざします。
「ごめん」
黙り込むことで、チャックさんを責める自分が、とても嫌で……、
「ごめん」
泣けてきます。
「もしかしたらキャロル、いわゆる『女の子の日』ってやつかい?」
私は泣きながら、チャックさんに一番おっきなミサイルを撃ち込みました。