月の玉座から見下ろせば、地にわだかまり波打つ負の感情。
人が生み出す暗いうねり。
その波間から顔を突き出し、怨嗟を唸る無数の魍魎。
嘆き悲しみ、怒り憎み、怨みつらんで手を差しのばし、
すべてを引きずり込まんと、掴みかかる。
『我らはこれほどまでに苦しんだ。お前たちもそうであれ』
けれどいくら仲間を増やしたとて、そこに安息などあるはずもない。
その苦しみは、その内にこそあるのだから。
救いを求め、伸ばしたその手で、私の手を取りなさい。
滅びにたどり着く、その前に。
その身に帯びた災いは、私が地へと還します。
全てを忘れ、眠りなさい。
お前たちを追いやった全てが、遠い昔のこととなるように。
目覚めた時には微笑んで、その手を差し出すことができるよう。