(C)hosoe hiromi
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永遠の少年

『純粋で、真っ直ぐで』
 グレッグは、そうつぶやくでしょうか。
 それともその言葉を、心にしまったままにするでしょうか。
(ええわたくしの過去と未来は、幾重にもまじりあっているのです。)

 ディーン。わたくしの永遠の少年。
 あなたのその純粋で、真っ直ぐな時間を、その時間だけを永遠に、共に歩めることを、わたくしは幸せに思います。

 レベッカ。わたくしの永遠の親友(おともだち)。
 ごめんなさいね、レベッカ。
ディーンと共に歩み続けるあなたに、ヤキモチを焼かせてください。
 わたくしはあなたに、少し甘えています。

 グレッグ、心の平穏を取り戻すことができましたか?
 キャロル、お父さんと幸せに過ごしていますか?
 チャック、甘えられる人ができましたか?
 わたくしはただひたすらに、それを祈り、信じます。

 永遠に、永遠に。

 戻ることない時の流れが、全てを変えていきます。
 少年は、いずれ大人になるでしょう。
 少女はその走り出す直前の少年の一時を、その一時だけを、共に歩み、手に入れることができるのです。

 ひたすらに追いかける少女。
 過ぎ去る時がもたらす変化に、キャロルは希望を抱いていますか?
 迷いながらも共に走る少女。
 レベッカは、ディーンの成長を、ずっと見守っていますか?
 そして置き去りにされた娘。
 ルシル。わたくしは、あなたともう少し、お話ししたかったと思います。

 物心ついたころより、世界を救うためにあれと教えられました。
 ジョニー・アップルシードとして強硬派を率い、古代文明を支配しました。
 あまりにも多くの人々に必要とされたために、
 誰かに必要とされることは、できませんでした。
 大を生かすために小を切り捨てなければならないわたくしの魂は、凍てついていなければ、壊れてしまっていたでしょう。
 友だち、オシャベリ、リボンとお菓子。
 憧れ、ジェラシー、夢見る時間。
 そして永遠の少年。
 わたくしが、夢見ることさえ知らなかった少女の時間。
 どこかの誰かは言うでしょう。
 それは所詮夢なのだと、少女という名の夢にすぎないと。

 けれどわたくしは、永遠の少年を手に入れました。
 永遠の親友(おともだち)、永遠の仲間たちと共有する、光輝く永遠の時間を、手に入れました。
 先を失う代わりに、手に入れたのです。
 わたくしは、光輝く少女の時代を、永遠に巡ることができるのです。
 永遠の少年に、出会い続けることが、できるのです。



090223

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