「ディーンみーつけた!」
「レベッカみーつけた!」
「ディーンみーつけた!」
「レベッカみーつけた!」
互い違いにオニになり、幼馴染みを捜し出す。
「ディーンみーつけた!」
「レベッカみーつけた!」
「ディーンみーつけた!」
「レベッカみーつけた!」
飽きもせず、陽が傾くまで繰り返す。
「ゴハンよー!」
「ひゃっほー!」
「ディーンみーつけた! あたしの勝ち!」
隠れましょう。鍵として。
隠れましょう。暗く寒い場所に。
隠れましょう。たった一人で。
日が暮れても、夜が明けても、隠れていましょう。
いくつもの時代が移り変わり、時が満ちるまで、
あなたの笑顔を夢見ながら。
永遠(とわ)に等しい時間(とき)のかなた、わたくしはオニから逃げ出して、あなたと出会う。
隠れましょう。オニの目から。
隠れましょう。あなたと一緒にいるために。
そしてオニと出会ったら、またはじまりへ戻りましょう。
もう一度、あなたと出会う、そのために、
わたくしはオニにも、なりましょう。
姿を消した、ヤツを探す。
ヤツを求めて、渡り歩く。
荒野の果てまで、彷徨い歩く。
ヤツはどこだ?
ヤツを出せ!
ヤツは常に、オレがいない場所にいる。
手段は選ばねえ。
どこに隠れてやがっても、オレは必ず引きずり出す。
そして息の根を止めてやる。
あの日鬼に家族を奪われ、オレは一匹の鬼となった。
鬼が私を捜している。
狭く逃げ場のない場所に身を押し込んで、
見つかりませんようにと、ただ祈る。
鬼が私に近づいてくる。
足を踏みならし、罵声をあげて、私をいじめようと、やってくる。
通り過ぎても、日が暮れても、夜になっても、またやってくる。
ついに見つかっても、鬼はずっと、鬼のまま。
だから私は、逃げ出した。
かくれんぼが鬼ごっこになりはしないかと、恐れながらも逃げだした。
「あたしの負けよ! 出てきなさい!」
けれど二人は、現れない。
出てきたら、おもいっきり文句を言おう。
「出てきたって、許してなんか、あげないんだから!」
けれど二人は、現れない。
もう日暮れ。夜は近い。
泣きそうになって、唇を噛みしめる。
「二人とも、もう探してなんか、あげないんだから!」
けれど二人は、現れない。
知らない、知らない、もう知らない。
あたしをこんなに怖がらせて、
あたしをこんなに心配させて、
いつだって二人とも、あたしが呼べば来たじゃない。
そのへんに隠れてるだけなんでしょ?
そしてあたしのこと、見てるんでしょ?
早く出てこい、あたしが泣き出す、その前に。
早く出てこい、涙が乾く、その前に。