(C)hosoe hiromi
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かくれんぼ

ディーン&レベッカ

「ディーンみーつけた!」
「レベッカみーつけた!」
「ディーンみーつけた!」
「レベッカみーつけた!」
 互い違いにオニになり、幼馴染みを捜し出す。
「ディーンみーつけた!」
「レベッカみーつけた!」
「ディーンみーつけた!」
「レベッカみーつけた!」
 飽きもせず、陽が傾くまで繰り返す。
「ゴハンよー!」
「ひゃっほー!」
「ディーンみーつけた! あたしの勝ち!」

 

アヴリル

 隠れましょう。鍵として。
 隠れましょう。暗く寒い場所に。
 隠れましょう。たった一人で。
 日が暮れても、夜が明けても、隠れていましょう。
 いくつもの時代が移り変わり、時が満ちるまで、
 あなたの笑顔を夢見ながら。
 永遠(とわ)に等しい時間(とき)のかなた、わたくしはオニから逃げ出して、あなたと出会う。
 隠れましょう。オニの目から。
 隠れましょう。あなたと一緒にいるために。
 そしてオニと出会ったら、またはじまりへ戻りましょう。
 もう一度、あなたと出会う、そのために、
 わたくしはオニにも、なりましょう。



グレッグ

 姿を消した、ヤツを探す。
 ヤツを求めて、渡り歩く。
 荒野の果てまで、彷徨い歩く。
 ヤツはどこだ?
 ヤツを出せ!
 ヤツは常に、オレがいない場所にいる。
 手段は選ばねえ。
 どこに隠れてやがっても、オレは必ず引きずり出す。
 そして息の根を止めてやる。
 あの日鬼に家族を奪われ、オレは一匹の鬼となった。



キャロル

 鬼が私を捜している。
 狭く逃げ場のない場所に身を押し込んで、
 見つかりませんようにと、ただ祈る。
 鬼が私に近づいてくる。
 足を踏みならし、罵声をあげて、私をいじめようと、やってくる。
 通り過ぎても、日が暮れても、夜になっても、またやってくる。
 ついに見つかっても、鬼はずっと、鬼のまま。
 だから私は、逃げ出した。
 かくれんぼが鬼ごっこになりはしないかと、恐れながらも逃げだした。



ルシル

「あたしの負けよ! 出てきなさい!」
 けれど二人は、現れない。
 出てきたら、おもいっきり文句を言おう。
「出てきたって、許してなんか、あげないんだから!」
 けれど二人は、現れない。
 もう日暮れ。夜は近い。
 泣きそうになって、唇を噛みしめる。
「二人とも、もう探してなんか、あげないんだから!」
 けれど二人は、現れない。
 知らない、知らない、もう知らない。
 あたしをこんなに怖がらせて、
 あたしをこんなに心配させて、
 いつだって二人とも、あたしが呼べば来たじゃない。
 そのへんに隠れてるだけなんでしょ?
 そしてあたしのこと、見てるんでしょ?
 早く出てこい、あたしが泣き出す、その前に。
 早く出てこい、涙が乾く、その前に。



08.10.26

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