「オレ、全部レベッカの母さんにやってもらってたッ!」
「も、もちろんあたしだって多少はできるけど、母さん得意だから出る幕なかったし」
「わたくしは、どうすればよいのやらさっぱり……」
「オレはガキのころは母親に、結婚してからは女房にやってもらっていた。ゴウノンを出てからは、気にしちゃいなかった」
「私の両親も気にしませんでした。今の連れはそうではないのですが、すぐに新しく買いたがる方でして」
「わかったから、繕い物全部出してッ!」
……
「うわー。チャックすげー」
「一人暮らしで貧乏だったら、こういうスキルは自然と身につくよ」
「あたしよりウマイなんて、ちょっと妬けちゃうかも」
「妬かなくていいから」
「お母さんポジションは、チャックにおゆずりします」
「辞退していいかい?」
「いや、なかなかのもんだ。誇っていいと思うぞ」
「誇るほどうまくないって」
「けれどチャックさんの場合、ルシルさんにお願いできなかったのですか? 家事全般の技能が、とても優れた方なんですよね?」
「……ルシルに仕込まれたのさ」