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ワイルドアームズ5

艦長から見たチャック

 最初、うち(セレスドゥシリーズ)のキャラ相関図を作ろうとしていて、それぞれのキャラにチャックはどう見ている、どう見られているを書き出していて、で、艦長の時だけこう全然意識も考えもしていなかったのに出てきたのが、「艦長はチャックに違和感を感じている」というイメージ。

 いやだって、ぜんぜんチャックとはからまないキャラなのに、どうしてこんなイメージが? という疑問から、このイメージとは関係ない艦長ネタSS書いてしまったりして、

 その違和感っていうのが、まるで幽霊を見た時みたいな、というんでしょうか。
 存在感が薄い、というのとは逆で。
 存在するはずがないものが、そこに在る。本当はそこに無いはずなのに在る、みたいな。
 何かのときにふと感じる程度の違和感で、でも艦長が、なんだ? と思って見ても、そこにいるのは普通のニンゲンにすぎなくて。


 で、考えた末に出てきたのが、ある意味うち的予定調和なんですが。
 先にいっちゃうと、チャックが疫病神だから。


 もうちょっと詳しく説明すれば……。
 艦長は、究極のベルーニである。
 究極のベルーニとしての鋭い感覚を持っている。
 なおかつ星の拒絶であるUbを発症している。

 チャックは普通のニンゲンである。
 普通のニンゲンは、星命活動の一部として存在する。
 そしてチャックは、星命活動の一部である災厄発動の焦点となっている疫病神である。

 災厄とは、病気に対する発熱や抗体のようなものであり、Ubもその一つである。

 艦長がチャックを通して見たのは、星のそうしたベルーニに対する、星の働きそのものである。
 それはベルーニにとって、予想外の、あるはずのない、あってはならないものだ。


 だからって、互いにどうこうない、んですけどね。
 個人的かかわりにまでなってこないし。っていうか、うちの場合、チャックが対人関係フラグ折ってるし。

 艦長からパーティメンバー見た場合、チャックはレベッカと共に、無関心度一位なんだよなあ。
 アヴリルは当然、ディーンはテレビで見た時から一目でこいつならヤルと直感した。
 キャロルは、あのエルヴィスの養女。
 グレッグは、ニンゲンに対するベルーニの横暴の復讐者の代表。
 ディーンにくっついてきてる女の子のレベッカと、さらにわかんない理由でくっついてきてるチャックと。
 あとでファリドゥーンとの、ルシルをはさんだ関係を聞いて、しかもチャックがファリドゥーンを倒したと聞いて、きっと艦長は思ったね。
 ファリドゥーンは、軍人としては、まだまだ神経がやわいんだよなぁ って。
 わははは。チャックを見直す、んじゃないんだよ。
 いや、ファリは十分強いって。あんたが強すぎるだけで。それにベルーニの寿命から見たら、余計に若造なのには違いないし。

 で、うちの場合セレスドゥ事件で、多少認識変わったけど、まだ小僧小僧って、名前で呼んでももらえないしな。艦長の関心は、これでヴォルスングが助かるなあ、っていうところにあって。
 いや、薄情な人っていうわけじゃないんだけどさ。大怪我したとか昏睡したというレベルの話、あの艦長には、たいした話じゃないと思うから。
 クレイドルのセレスドゥ見て、すげえな、ぐらい思っただろうし、死者には艦長の知ってる人もたくさんいただろうから、あぁ…、ぐらい感じただろうけど、それはチャックの人格とは関係のないことだし。

 あの時点でも艦長にとっては、チャックは、ヴォルスングが拾ってきた死にそうな子猫ぐらいの存在なんだよ。
 いろいろあって気落ちしていたヴォルスングが、死にそうな子猫を飼いたいと言い出したので、それを認めてやった。そしたら以前ヴォルスングにいじめられた子が、その子猫をいじめたので、ヴォルスングが連れて家出した。連れて帰って、とりあえず子猫が死ななくてよかったなあ、と。

 チャックの方も方で、いろいろこの人すごいなあ、とは思うんだけど、疫病神の自分は近づいちゃいけないって距離を置いている。艦長だからそうする、というでもない。
 チャックにとって自力で大丈夫なのはアヴリルだけで、それ以外の仲間は、災厄に巻き込んじゃうけどチャックが自分の手で護ろうと覚悟を決めて接近していて。

 それ以外の人たちとは、まだダメで。特に艦長みたいな能力的にすごい人がUbなんて聞いた日には、しみじみ自分の疫病神ぶりを呪うだけで。そういうチャックに、いやお前とぜんぜん関係ないし、なんて言っても無駄です。



 ついでなんで、もう一つ。

 うちのチャックは、結構古傷もちです。
 即ヒールするのでニンゲンで古傷だらけ、っていう人は少ないです。
 ベルーニの場合も、多少の傷なら影も形も残さず治療できます。
 そしてチャックの傷は、危険に身をさらして生きる人々が体に刻む傷とは、かなり違います。
 一言で言えば、汚いのです。
 その傷をつけた人たちの負の感情の残滓が、いやな気配がまとわりついています。