ワイルドアームズ5
ペルセフォネとファリドゥーン
初登場時のペルファリは、魅力的だ。
だが、ペルが年上とはいえ、上司であるファリに対するペルの態度は、普通ではない。
そもそもベルーニは上下関係に厳しそうだし、上下関係が実力主義で決まりそうだけど、役職はともかくペルが上……ってこともないだろう。
しかも上下関係については、頭カチカチのファリが相手だ。ファリもよく、ペルに舐められた口をきかれても、ムカッ腹立てないなと。人格者だけど、そういう穏和なのって、軍人には似合わないぞと。
まあ、ある意味ファリが戦闘力でバカスカ倒す戦闘ゴーレムを、コンソールから指先だけで殲滅させちゃうペルの実力を、ファリは認めているんだろうけど。
もっとも他がカルティケヤとエルヴィスだから、一応四天王を統括してるのがファリのはずなんだけど、ファリが他の四天王に、何か命令してたりするのって、想像しにくいな。
ファリ、なんかメンドクサイ役職押しつけられた風じゃないか?
むしろペルの方が、きっぱり言いそう。
それでもカルティケヤもエルヴィスも、しかたないなあ、って程度にしか、聞きそうにないが。
RYGS邸でのペルの台詞からは、RYGS家とは旧知の間柄っぽい。
ということは、四天王になる前から顔見知りだったと考えていいんじゃなかろうか?
考えるに一つ。ペル姉とナイトバーンがくっつきかけたとき、ヴォル家族同様RYGS家の庇護を受けて、ペルとファリもその時知り合った。
とすると、ペルはファリに感謝しこそすれ、舐めた口きくというのは、どうにも合わない。
そこで、血縁じゃないかと考えてみた。
それとは別に、ファリはダイアナの孫息子とはいえ、その年齢差から、以前からダイアナの第一子の、そのまた第一子、ではないんじゃないか、と考えていた。
もちろん寿命が長く、若さを保てる時間も長いベルーニだから、それも十分ありえる。
けれどそうすると、あんなにデカイRYGS邸が必要なのか? と。
いや別に、たとえ一人だろうと、デカイ屋敷に住んで、使用人がうじゃうじゃだろうが、メイドロボがわらわらだろうが、かまわないんだけど。
けど、政治家や軍人を何人も出した家系、なはずで。そういう貴族にとっては、有能な血を引いた子どもをたくさん作るのも、ある種の仕事なはずで。
たぶんダイアナは、RYGSにお嫁に来たんじゃなくて、RYGSの血を引いてるんじゃないかと思う。お嫁に来た場合、ダイアナが生きていても、当主がファリドゥーンになるんじゃないかと思うから。
あれ? ダイアナは当主だったよね? そういう話は出てなかったっけ? まあいいや。この話は、今回の話にあまり関係ないから。
で、とにかく長年続く有能な人物を多数輩出する血筋なんだから、その血筋を残すことは重要なはずで。
しかもガンナーズヘブンみたいなRYGSの飛び抜けて有能な男子のみに受け継がれるARMなんてものがあるぐらいだから、逆にこの血を引いていれば確実に有能ってわけでもないはずで。
つまりダイアナには何人も子供がいて、孫ももっとたくさんいた、と考えてもいいはずで。
ファリにも兄弟姉妹がいたとしても、不思議じゃないはずで。
っていうか、ファリって兄弟姉妹の下の方っていう雰囲気がする。
けどRYGS邸は閑散としている。
ダイアナとファリしかいない。
たとえRYGS邸を出てたとしても、ダイアナが病に倒れ、ファリが仕事で家を留守しまくりなら、血縁者が誰かRYGS邸に来たりしてても、いいんじゃない?
そこでこう考えてみた。
まず、かなりの数Ubで亡くなったか、すでにクレイドルで療養中。
だが、完璧にファリ以外全員というのは無理がありそうなので、いやそれはそれでファリが苦悩する理由にもなるんだけど。とにかくそればっかりじゃなくて。
軍人も多いそうだし。
だから、内部抗争で殺し合った、というのを考えてみた。しかもヴォルがらみ。
ヴォルがRYGSに保護されていて、比較的ニンゲンにも寛容っぽいトゥエールビットで、けどRYGS邸そのものが隠し扉や脱走路といった、緊急時を想定した作りになっていて。
ならトゥエールビットで、ヴォルスングを排斥しようとした穏健派たち、ってのはRYGSの血縁者たちだったんじゃなかったか? と。
だからRYGS邸に進入することもたやすく、そして殺し合ったがためにRYGSの血筋はさらにその数を減らしたのではないか? と。
いや、ベルーニにとって、そういう殺し合いで決着をつけるのって、わりと普通なんじゃないかと。ヴォルが穏健派粛正しても、それについてベルーニ社会から、はっきりした反発とか出てないし。
そんな設定は「RYGS邸にて」で使ったけど。
ついでに、この抗争のせいで、トゥエールビットのパワーバランスも、微妙に変わったりしてて。
ダイアナとファリだけになって、しかもダイアナが病に伏してるのに、血縁者が来てないってのも、そのせいじゃないか? と。
それで数が減り、親類付き合いも疎遠になったと。
で、ペル。
ファリに対する態度や、旧知の仲であるっぽいこと。
もしかして血縁じゃないか? と考えた。
だからあの日、RYGS邸に、ダイアナをお見舞いに来てたんじゃないか? と。
血縁として来てたから、だからRYGS邸の秘密脱出通路まで、追って来たんじゃないか? と。
その線で、設定を捏造してみた。
イトコかハトコ関係ぐらいはどうだろう?
RYGS家から出た兄か姉の子供。
で、ベルーニの場合、兄弟姉妹の年齢差が、ひどく大きくなることもありえるわけで。
ペルとペル姉が、親子ほど年齢が離れていたとしても、おかしくないわけで。
ペルの両親はすでに亡くなってるとして。
ペルとってペル姉は、姉兼母親で、ペル姉がつきあってたナイトバーンは、覚えてもいない父親のイメージを重ねてたりして。
今回その話じゃなくて。
ダイアナの子供たちの誰かがRYGS家を出て、ICPP家に入って、ペルはその子か、あるいは孫か、ひ孫だっていいわけで。
で、なにせペル姉はナイトバーンとくっつくぐらいだから、もともとニンゲンへの抵抗はなくて、とすればRYGSが、ヴォルの扱いについて争った時も、ヴォル容認派で。
ペル両親が直接関わって、犠牲者になっていてもいいし、全然関わってなくてもいいし。
ただしペルの様子からすれば、ペルの身近な人がクレイドルにいたってことはなさそうで。
あるいはペル姉がナイトバーンとくっついたとき、ICPP家の者たちから総スカンくらって、ペルはそのとき姉について、姉ともどもヴォルのことでニンゲンとベルーニの関係に理解があるRYGSを頼ったりしたことも、あってもいいなと思う。
それがなくても、遠めの、けど血縁ということで、時折RYGSを訪れていてもいいはずで。
けどいくらダイアナが穏健派でも、孫息子が強硬派幹部で、しかもヴォルを巡る対立を穏健派と起こしてるから、普通の穏健派も、普通の強硬派も、RYGSは名家だけど、関わり方が微妙ってな問題があって。
でも、そんなペルなら問題ない。
となれば、ルシルじゃなくてペルがダイアナの身の回りの世話にRYGSにとどまってもいいんだけど、そこはそれ、ダイアナもペルの能力認めてるから、お仕事がんばりなさいねって感じで。
ヴォルのことも気にかけてるだろう、ダイアナだから。
いやむしろダイアナは、きれいな娘に育ったペルを呼ぶことで、女に興味のないファリを、あおるつもりだったりして。
ルシルを雇ったのも、それをわざわざファリドゥーンに連れてこさせたのも、それ目的だったりして。
で、そんなこんなで、ファリペルは、子どものころから時折顔を合わせる関係で。
しかも一歳違いでペルが上。
女の子の方が成長早いし、ペルのあの性格なら、ファリは戦士としての実力はあるくせにずいぶんオットリした性格に見えていて。
で、ずっと姉ぶっていた。
あるいはペル姉がファリに姉ぶるのを、まねしていた。
それが今でも、互いに続いているもんだから、ファリはペルにああいう態度とられても、それが普通になってるんじゃないか? とか。
勝手な思い込みだけど、ペルとルシルって気質が似てる気がして。男の趣味は違うけど。
しかも割とルシルは、ペル好みの性格じゃないかと。
ただペルファリに恋愛感情はまるでなくて。いや、ファリはペルの趣味じゃないだろう。
ペルにとって、ファリルシがいたら、むしろルシルカワイイ。
これまで通り、RYGS邸にちょくちょく顔を出して様子見たり。
という設定にしとくと、ファリと結婚してやっぱりいろいろ人間関係むずかしくなりそうで、味方が一人でも欲しいルシルにとって、いろいろ相談できる年上の女性がいて、いいよなと。