◆WA5 >  ◆キャラ

ワイルドアームズ5

チャックとファリドゥーン 何が違うか?

 チャックとファリドゥーンの違いは、たぶんチャックが自分基準を持っていることだと思う。

 ギルドの任務に責任感をもってあたっているとはいえ、忠実というのとは違う。
 そもそもギルドの任務は、ゴーレムのほうだって大物見つけたら消されるという噂があるし、犯罪者の方も、ただベルーニの横暴に逆らっただけの者だったり、濡れ衣だったりする。無許可で居住地を離れている渡り鳥だって犯罪者だし。
 となるとハンターとして残っていくのは、出世目当てのベルーニの犬か、役得だけが目当ての渡り鳥か。

 でもチャックは、そのどちらでもない。

 そんな混沌と矛盾の中で、他のハンターともつるまず、しかもハンターやってくためには、自分基準を持って、自分の判断で柔軟に行動してくしかないんだよな。相談相手もなく、手本とする人もなく、ほぼゼロ地点に立ってるわけだ。
 完全なゼロ地点じゃないのは、ナイトバーンがたとえ虚構としてでも垣間見せたもの、腐ってるけど作り上げたギルドがあるからで。
 で、その自分基準の倫理観が、結構高いというか、ファリドゥーンの持っているものに似てるんじゃないかと思う。


 一方ファリドゥーンのほうは、それこそ軍の基準があり、RYGSの教育方針があり、そして手本となる尊敬すべき人々も沢山いて。
 両親とか、ダイアナもそうだろうし、穏健派のバーソロミュー艦長だってそうだろうし。一つ年下のヴォルスングのことだって、ただ親に言われたからだとか、立場上といったものを越えて、その人格に惚れて生涯の主と認めたんだと思うし。
 軍人として上に忠実なことは求められるし、教えられたものではあるけれど、ファリドゥーンはその軍人としての基準をすでに内に作り上げていて、その基準に照らし合わせて迷いなく、ヴォルスングを選び、穏健派から強硬派に鞍替えしたんだと思う。

 まあ、それでも破綻しちゃったわけだけれど、ヴォルスングがあそこまで無茶苦茶でなければ、そしてたぶんヴォルスングがわかっていてファリドゥーンを懐柔していなければ、ああはならなかったんじゃないかと。
 ヴォルスングのほうも、ファリドゥーンの性質だとか、持ってる力をよく知っていただろうし。
 ファリドゥーンの力っていうのは、単純な戦力じゃなくて、ヴォルスングともバーソロミューとも違うけどカリスマなんだ。人をひきつけ、軍人たちを引っ張りつつ、その暴走を押さえ込むような。

 バーソロミューは、そしてヴォルスングも、カリスマの人だ。そしてそのカリスマこそが、ジョニー・アップルシードの資質ともいえる。アヴリルも、大昔の世界ではカリスマだったはず。

 けれどそのカリスマは、大衆にアピールするもので、どれだけ人の気持ちを動かしても、所詮そのままでは烏合の衆になりかねない。
 ファリドゥーンのカリスマは、組織を穏やかに動かすカリスマだ。軍という、もっとも血の気の多い組織を。
 ファリドゥーンが望めば、それこそヴォルスングに対してクーデターだって起こせる。いくらヴォルスングが強くても、所詮一人だし。バーソロミューに従う人々もいるけれど、ファリドゥーンが動かせる人々の方が、圧倒的に多いし、組織をまとめ、運営していく力もある。というか、それができるような教育を受けているはず。
 いつでも独裁者になれる権力をもちつつ、それを全体のために行使する者。

 だからこそファリドゥーンには、RYGSの軍人には、己が認めた主に従うという基準が、刷り込まれているのだと思う。そして主と認められるのは、ジョニー・アップルシードの資質を持った者。それがファリドゥーンにとっては、ヴォルスングだったんだと思う。

 それでもその関係が破綻したとき、そこにはルシルがいて、そしてチャックがやってきて。
 ファリドゥーンのタガを外したチャックは、それでもなおファリドゥーン自身が見失った軍人の誇りを認め、だからファリドゥーンは軍人の原点に立ち返ることができたんだと思う。


 こうした視点から考えると、チャックがもしギルドマスターにまで上り詰めたとしても、トップとしてはかなりの変人ぶりを示すんじゃないだろうか? ファリドゥーンみたいに、組織をひっぱってくためのノウハウは持ってないし、個人的な自分基準っていうものができてしまっているけれど、そのカリスマでどんどん人を引っ張っていくタイプでもない。
 システムは作れると思うんだけど、自分自身が自分が作ったシステムに縛られることを拒絶しさえするかもしれない。
 仕事上の付き合いはそつなくできるだろうから、いい線まではいくだろう。ファリドゥーンならばもはや意識することないほどの自然体で部下を信頼し上司として信頼される。けど、チャックはそうした関係をどこまで作れるのか?

 チャックなら、ギルドという組織を、ぐだぐだから、しっかりした実用的なものに作り変えることができると思う。チャックは現状を知っている上に、自分基準で、ギルドをどっちの方向に持っていけばいいか、判断できるから。
 けれどギルドがぐだぐだでなくなって、一通りシステム化されたとき、チャックはギルドから、少なくとも第一線からは、身を引くんじゃないかと思う。

 自分こそがその枠組みから外れていることを知っているから。

 そして後々、ナイトバーンと共に、ギルド黎明期の、名物ギルドマスターとして名を残すんじゃないかな? と思う。ただしナイトバーンは誰でも知ってる、チャックは知る人ぞ知る的に。