セガサターンの名作『NiGHTS into dreams…』を知らないと、意味不明な初夢
印象的だったので、ここに書き記す。
人々がワイズマンと戦っている世界。
ナイツも人々と一緒に戦っていた。
人々の希望の星であり、ヒーローだった。
戦う人々の中心にいる英雄だった。
過去形だ。
ナイツは、ナイトメアとしての力を失いつつあった。
もはや満足に飛ぶことすらできはしない。
そのことを、誰よりも気に病んでいるのがナイツだ。
イライラしている。
どこかの部屋の中にいるナイツのところに、人々の中のえらい人がやってきた。
作戦会議をするらしい。
そして、そんなナイツに、このところの戦いぶりでは困ると言いに来た。
もっと頑張ってくれと。
その言葉で、ナイツがぶちきれた。
なら、ナイトメアの力を見せてやる。
狭い部屋の中でえらい人々の周りを飛び回り、手当たりしだい物をぶつける。
放られた物は物理法則を無視して、ぶつかった物に融合する。
幸い人間にはぶつかってないようだが、机にめり込んだりしている。
えらい人々は右往左往するばかりだ。
部屋を飛び出し、廊下を飛ぶナイツ。
これがナイトメアってもんさ!
けれど人々をイジメたことを後悔し始めたとたん、激昂している間戻っていたナイトメアの力が、風船がしぼむように消えていく。
失速し、廊下の床に落ちてしまう。
立ち上がり、とぼとぼと歩いて自分の部屋へ行く。
僕が『歩く』なんて。
そんな自分を見て、まわりはなんて言うだろう。
ますます気分が落ち込んでいく。
自室に入ると鍵をかけ、ベッドに身を投げ出す。
ベッドに身を横たえる自分に、さらに落ち込むナイツ。
泣ける気分。けれど泣くことを、ナイツは知らない。
これじゃあまるで……。
そのとき誰かが、部屋の扉を開けた。
鍵をかけておいたのに!
二度目のブち切れ。
再びナイトメアの力を取り戻して、暴れるナイツ。
暴れながらもむなしさを感じる。
こんな風に暴れるのも、自分らしくない。
ふと窓の外に目をやると、空が誘っている。
空高く飛べ! 今なら飛べる! 飛べるうちに!
眼下に大地が広がる。気持ちがいい。
やがて赤っぽい岩場が見えてくる。
飛ぶ力を失う前に、岩場に『着地』するナイツ。
けれど今度は、着地したことが、あまり気にならない。
ここはピンク色の水晶が取れる石切場。
しゃがみこんで、岩のはじっこを拾って、いじくりまわす。
白と赤茶の屑石だけど、おもしろい。
ここには、ナイツが信頼している人間の友達がいる。
水晶を掘り出して、磨き上げるのが彼女の仕事だ。
二十五ぐらいの女性で、細身で腕力があるわけじゃないけど、意思のパワーを感じる。
彼女が見つけ、磨き上げた水晶を見せてくれたことがある。
透明感のあるものや、不透明だけれど雪のようにキラキラしたもの。
ここで掘り出され、加工された石は、ワイズマンとの戦いに使うらしい。
今は仕事中だけれど、ナイツが来たことには気づいているから、仕事が終わったらここへ来るだろう。
ナイツは、子どものように石をいじくりながら、何をどう話そうかと考える。
ナイトメアの力を失いつつある自分。
他人の目を気にし、干渉されることに腹を立てる自分。
自分のしたことに後悔を感じる自分。
そのことに、ナイトメアらしくない自分に、イライラしている自分。
彼女のことは、よくわかっている。
だから彼女への質問を考えるだけで、彼女がどう答えるかも、自然とわかる。
僕はナイトメアなのに、まるで人間みたいだ。
『人間が嫌かい? それに君が何であろうと、君はナイツだろ?』
あ!
ナイツの両足は、すでに地を離れ、意識は風と共にあった。
そして私は放り出されて布団の中で目を覚ました。