原稿料を手にするまでは、プロではない、と言う人がいます。
けれどもそれでは、原稿料を手にするまでは、アマチュアのつもり、ということになってしまいます。
それに、一度原稿料を手にしたくらいでは、一人前になれるわけでもありません。
決心した瞬間から、プロとして行動すること。
それが、決心というものです。
コンテストに応募して、それで賞金を獲得しても、応募するときただの力試しのつもりだったのなら、アマチュアです。
どんなときでもこれを仕事につなげていくのだ! という意識をもってすれば、読者コーナーやインターネットのBBSへの投稿であっても、プロの活動になりえます。
いえ、どんなところにもチャンスはありますし、コンテスト参加だけが、プロになるための活動というのも、寂しい話です。
正直いって、コンテストで大賞取って作品が出版されて、そのままもの書き人生、なんて人は、少数派に過ぎません。
なにげな書き物が先輩格のもの書きに認められて、仕事を手伝ってみないかと声を掛けられ、というのが、よくあるパターンなのです。
その場で求められているものを、どんどん書いてみましょう。
読者コーナーやBBSも、そしてコンテストも、そうした場の一つです。
書いた物は、惜しまず広く公表しましょう。
あなたの書くものに価値があれば、必ず声は、掛けられます。
以上 2001春追加
もの書きになるためには、まず書かなければなりません。
そして書いたものは、人に見せなければなりません。
見せて、読まれてこそ、意味があるのです。
ですが、なかなか作品を人に見せようとしない人がいます。
まだ、うまくないから。
まだ、自分が満足いくようなものではないから。
これは、自分がプロになった暁に発表する、大切な作品だから。
どんな理由を付けようとも、人に読ませるつもりで書き、そして人に読ませないかぎり、それがもの書き業につながることは、ありません。
それに、発表できないようなものを、完成しているとも、言えません。
そして完成したものは、なるべくなら仲間内ではなく、第三者の目に触れさせたいもの。
もの書きになるためには、人の目にさらされなければ、なりません。
人の目にさらされて、始めて人のためのモノが書けるのです。
……え? 自分のためのモノは、書けないのか? って?
もちろん、書けます。
ですが、もの書きを仕事にするということは、社会の一員として仕事をするということです。
もの書き業で、お金を稼ごうっていうんでしょ?
人のために、まったくかけらもならないことじゃあ、社会の一員として仕事をしているとは、言えませんし、そんなことに誰がお金を支払うというのでしょう?
それに、自分のためと人のためを、両立させられないって思い込みは、いけません。
自分が納得でき誇りを持てる分野で、他人のためにもなることをすればいいんです。
で、完成させた作品は、片っ端から発表しましょう。
同人誌。いいでしょう。
インターネット。いいですね。
だけどもの書きを目指すなら、アマチュアのうちに商業誌の投稿コーナーや、出版社が主催するコンテストの、常連になるのも、いい手です。
大きなコンテストで優勝でもすれば、もの書き業として快調な滑り出しといえますし、編集者に名前を覚えてもらえれば、それも一つのコネになります。
ですが、もうそのネタが使えなくなると、出ししぶっている人がいます。
なにせコンテストの場合、投稿作品の版権は当社に属するものとする、なんて但し書きがありますから、びびってしまうのもしかたありません。
ですが、まだあなたが芽も出ていないアマチュアのもの書きで、プロ化を目指しているなら、ネタの一つや二つ、いえ十や二十だって、出し惜しみしている場合じゃあ、ありません。
それよりも、古いネタをコンテストに応募という形で、無理やりにでも切り捨てて、新しいものに取りかかったほうが、有益です。
あなたの才能が認められるきっかけになるかもしれませんし、そうでなくとも、あなたを古いネタという戒めから、開放してくれます。
だいたい、ケチケチしまい込んでいても、独創的なネタなんてまずないんです。
それをどう料理するかの、腕の違いだけで。
「少年少女が冒険して、悪を倒して世界を救う」
このネタだけで、いったいいくつの物語やシナリオが、書かれていると思いますか?
私は数えたくも、ありません。
プロのもの書きなら、何度かの投稿やコンテストだけで、ネタが尽きるようじゃやってけませんし、あなたがプロのもの書きになれたなら、一度はコンテストに使ったネタで、まったく別の、そして以前とは比べ物にならないくらい美味しい料理を作れるようになれるぐらい、腕が上がっているはずです。
投稿コーナーや、コンテストには、凄い作品がいっぱい集まっていて、自分の出る幕なんかないと、思い込んでいる人もいます。
……ある人に、こんな話しを聞いたことがあります。
新聞の投書欄に集まる投書の、そのほとんどが文章として成立しておらず、使えない。
それは、商業誌や出版社のコンテストでも、同じです。
なんて言うと、自分もそうなんだ、と思い込む人も多いんですが、そんな自覚がある人で、本当に文章になっていないようなものを書いている人は、めったにいません。
下手だと思うから、上達しようとしてるんですから。
むしろ、まったく自覚がない人の方が、下手を上手にしようとはしませんから、いつまでも滅茶苦茶なモノを書き続けるのです。
というか、それ以前の問題を抱えた、凄い作品がいっぱいきます。
まず、ちゃんと明記されている規程が、守れない。
黒か青のインクかプリントアウトで。という規定があるのに、エンピツ書きの原稿がくる。
原稿用紙×枚。という規定があるのに、
・補足として、その三倍もの原稿が、同封されている。
・枚数は規定以内だが、収まらなかった分を、行間や裏に書いてくる。
・広告の裏とか、ノートひっちゃぶいたそのまんまとか。
ほかにも、原稿を荒縄で綴じてくるとか、気持ちはわかるけど、ペンネームが有名作品のキャラクター名そのまんまとか、「続く」で終わっちゃうとか。
で、そういう問題を抱えた作品が、読んでみたら傑作だった。
という話は、見たことも聞いたことも、ありません。
原稿規定を読むだけで、あなたはそんな人たちを、一歩リードできるわけです。
……え? こんなリードの仕方は、イヤだ?
ま、まあそうかもしれませんね。
では、そのほかの原稿の書き方の、常識はどうでしょうか?
構成や文章がうまいへた以前の、「原稿の書き方」のたぐいの本なら、どれにでも書いてあるような、句読点の打ち方や、視点といったレベルの問題です。
また、一行中に二つも三つも誤字があるとか、誤字を赤で修正したままの未完成原稿とか、読めないほどのクセ字とか。
……クセ字なら、ワープロを使いましょう。※
どうせ今は、原稿はデータ入稿がほとんどなんです。
で、コンテストに集まる原稿の大半が、このレベルをクリアしていません。
その手のハウツウ本1冊読むだけで、さらにもう一歩リードできるわけです。
だいたい普通の投稿コーナーや、新人発掘用のコンテストで、ベテランの筆力が期待されているわけじゃあ、ないんです。
というわけで、投稿もコンテストも、恐れる必要はありません。
どんどん投稿し、どんどん応募してください。
平成最後の春に追記
さすがにワープロそのものがほぼ滅んだので、ワープロについては読み飛ばしてください。