◆細江の趣味  >  ◆LUNAR2

ヒイロの日記(下)

  

レミーナ(岸川)
 ●月×日
 お金でも降ってこないかしら
 ヤッホー、ヒイロ、ルーシア元気ィ?
 ジーンがあなたたちの日記を持っていたから見せてもらったわよ。
 ふ~ん、この前見た時と違って、結構他の人も書いてるじゃない。
 じゃ、わ・た・し・も。
 えーっとねえ、うちも大変なのよ。この前、魔法ギルドのメンバーに星竜の試練を受けさせて蒼き星までいったのはいいけど、わたしがルーシア達と話してるうちになぜだかみんな大怪我しちゃって不合格になっちゃうし。
 それにせっかく人々の役に立つ魔法ギルドを目指してるのに今動ける人がいないのよ。
 見習いは帰ってきたメンバーを見て星竜の試練を受けるのを嫌がってるし、噂が広がって新しく入ってくる人も少なくなっちゃうし。
 …今いるのはボーガンだけか。
 ボーガンといえば、ちょっと聞いてよ。ほとんど役に立たないのをお情けでうちにおいてやってるのに食べる量がすごいのよ、それも甘いものばかり。お砂糖なんてギルドでまとめて買ってある分の8割はあいつが使ってるんじゃないかしら。
 この前飲んでたお茶なんてお砂糖20杯も入れてたから、こっちが気分悪くなっちゃったわよ。
 …お屋敷の大掃除3ヶ月分追加だわ。
 そういえばラムスも甘いもの食べ過ぎなのよね。
 はあ、何で私の周りにはこんな男ばかりなのかしら。
 それじゃ、ジーン、仮面の白騎士にちゃんと渡してね。
 ついでだから彼にも書かせちゃいましょ。

  

ジーン(細江)
 ×月○日
 そーゆーわけだから、何かかきなさいよね、レオ。

  

仮面の白騎士(細江)
 ×月○日
 だから私は
 レオではなーい
 というに!
 ヒイロ(な住)
 ☆月◇日 天気は…確か噴火が起きる前は晴れだったかな。
 またこの古いほうの日記帳に書くことになろうとは…。
 今日、ルナからルビィが遊びにやって来た。
 「ヒイロ~聞いてよおぉ~! ほんっと、ここまでたどり着くのに苦労したんだからぁ! 星竜ったらあったまかたいのよぉ~!? あたしが青き星に行きたいって言ったら、やれおまえはこのルナを支える存在だからどうとか、竜としての自覚がどうとかってクドクドとうるさいのよ!? まるでナルみたいなんだから! もう! チョットは青竜さんを見習いなさいっての!」
 青竜はちょっと軽すぎると思う………。
 そしてルビィは、数時間に及ぶ口論の後転送のクリスタルを使わせてくれなかったらルナじゅうを砂漠だらけにしてやると星竜を脅したらやっと一日だけという条件でしぶしぶ使わせてくれたという話や、ナルに人間に化ける方法を教えてもらおうとした時の話(ナルの悪口)、グェンじいちゃんがまた新たな遺跡を発見したことや、仮面の白騎士が器物破損の常習犯として指名手配されていること等々、延々と話しつづけた。
 やっとルビィの話(後半はほとんどナルの悪口)が終わり、ホッと一息ついたら、
 「あれぇ~ヒイロってば日記つけてるの?」
 「うわぁ~~っ!! 見ちゃだめーーーっ!!!」
 むきになって見せないようにしたのが逆効果だったようだ。
 星竜やナルのことで機嫌が悪かったルビィはあっさりとキレてしまった。
 赤竜の力恐るべし……。神殿付近の火山と言う火山が次々に大噴火を起こすとは……。
 ルーシアが結界を張ってくれて助かった………。
 それにしても、空が火山灰のせいで真っ暗だよ…。気温は上昇したけど。
 ドサクサにまぎれてルビィは日記帳を持って帰っちゃうし。
 トホホ…今日は散々な目にあった…。

  

白の騎士レオ(伊武)
 ○月×日 至って快晴
 今日もまた、あのいい男に会った、そう仮面の白騎士。
 ジーンやレミーナが何か言ってるようだが、彼程の、いい男はそうおるまい。
 妹思いのいい男だ。
 ジーン・レミーナ私は断じてあのいい男「仮面の白騎士」ではないぞ。
 それから私は、今遺跡の調査で多忙な毎日を過ごしている。
 決して星竜などの試練はクリアーしていない。
 彼くらいの男なら星竜の試練などたやすいはずであろうが私は決して知らぬぞ。
 だから、ヒイロよルーシアに伝えて欲しい。
 「私は決して仮面の白騎士と言ういい男ではない」と。
 そう最近はたまにジーンのカーニバルよく顔を出している
 ジーンの踊りはいつ見ても熱くなるものがある。
 がしかし、残念ながら最後まで見てやれないのが残念である。
 いつも踊りの途中で私を呼ぶ声が聞こえてくるのだ。
 やはり白の騎士としてはそれを聞き逃すわけに行かぬのだ
 だからいつもスマンジーン
 さてこの日記は今度星竜にチャレンジする。
 我が妹夫婦マウリとロンファにでも渡すとするとしよう。
 ロンファへ星竜にチャレンジに当たって(注:これは、あのいい男から聞いた話だ)毎回思うが奴は、力抜くと言う事を知らぬ、毎回全力で来る。
 あれほど毎回行ってるのにいつも全力で来る
 だから、一度ヒイロ達とクリアーした時の事は忘れて改めて挑むが良い。
 (もう一回注:これはあくまで仮面の白騎士から聞いたことである。)
 最後にヒイロへ
 決して私はお前達の日記など見ようと思わなかったがジーンやレミーナの仮面の白騎士に対する言いぐさ、正義の白騎士として黙っていられなかったのだ。
 正義の男として見逃すわけにいかなかったのだ、お前程の正義の男なら俺の行為を必ず信じてくれると思う。
 それでは仮面の白騎士によろしくと伝えてくれ。

  

二児の母マウリ(伊武)
 △月×日 すがすがしい晴れ
 はぁ、レオ兄さんて最近どうも様子が変だと思っていたの
 なんか輪をかけて忙しそうにしていたかと思えば
 ・・・・・・こんな事をしていたなんてやっぱり相変わらずなのね
 昔から猪突猛進な所はかわって無いみたい
 そうそうみんな私たちの子供の話なんだけど、男の子と女の子の双子なんだけど、まだ名前を決めてないの。
 どんな名前が良いかな?
 一応なんだけど、候補として「ラウル」と「マイリ」ってのをレオ兄さんが考えたんだけど、レオ兄さんには悪いけど、私としては少し不満かな。
 何か他には良い名前はないかしら?
 そうだみんななんて名前が良いか考えてくれないかしら。
 そうだそれが良いわ。
 そう言うことで以後この日記を読む人たちは、ロンファと私の愛の結晶「子供の名前」を考えて。
 お願い。
 とりあえず、次はロンファに読ませるはね
 それじゃみんなお願いね!! 

  

二児の父マウリに世界でいちばん愛されてる夫ロンファ(半蔵)
 △月◯日 曇り
 マウリが最近育児にかまけて俺をかまってくれない。
 さっきも、ふざけてじゃれつこうとしたら子供がみていると諌められちまった。昨日も、畑仕事に出かける前にいつものヤツをやろうとしたら、とたんに男のほうが泣き出して俺はおいてきぼりだ。
 俺と子供とどっちが大切なんだと聞いたら、マウリのやつ「あなたはいちばん大切だけど二人ともあなたのとの愛の結晶なのよとても大事だわ」なんてな、可愛いこといってくれるぜ。
 まぁ、愛の結晶だけあって、どちらも俺とマウリに似て美男美女このうえなしだぜ。
 俺もいまじゃ、おしめの替え方からミルクのあたため方まで上手くやれるようになったぞ、ラーパの負け知らずの勝負師の頃には思いもよらない日々だ。
 だが、子供の名前は未だ決まらねぇ。
 いっそのこと潔く丁と半にしょうと言ったら、マウリとレオに潔すぎると顔面ストレートパンチをもらった。さすが兄妹、直情的なとこも似たもんだ。
 それはともかく、にらんだとおりメッセンジャーはやはりレオだったみたいだな。
 ヒイロが星竜の試練を越えていった後、自分も腕試しがしたいような事は言ってたが、青き星に行く理由がないとかぼやいていたんだが。まぁ、メッセンジャーとはレオにしては気のきいたアイデアだ、仮面の白騎士を名乗るには無理があるが。
 いい男と公言するなら、せめてウチの子供の叔父らしく少しは落ち着いて欲しいもんだ。
 ジーンにはレオに用があるなら、困ってみせるよう薦めておくか。レオも色気づくとすこしはマシになるかもしれん。
 ところでヒイロ、日記をみる限りではなんだが。おまえさん達は愛の結晶はいつなんだ?
 雨で畑仕事ができないなら遺跡発掘の他にすることがあるだろうが。
 ルーシアのことだから、おまえがしっかりしないと青き星で人間が増えない事もありえるぞ。
 青き星へ行く話だが、今のまだ産後まもないマウリに魔法使わせたり、乳飲み子ふたりを連れて星竜の試練を受けさせるのはちょっと心配だ。俺ひとりの身じゃないからな、こればっかりはサイコロにまかせるワケにもいかん。
 とりあえず、明日にでもマウリに困ってもらって仮面の白騎士にこの日記を渡そうかと思っている。
 マウリもみなに名前を考えてもらいたがってるし。しかし、丁と半のどこがイカンのだろう。

  

アリス(katoh)
 △月◎日 快晴
 ヒイロさん、お久しぶりです。私です、アリスです。あの時は本当にお世話になりました。
 驚きましたか? 私も驚きました。だってヒイロさんったら、今あの青き星にいるというのですもの。
 大事な人(ルーシアさんですよね?)に逢えたそうですね。本当に良かったです。
 どうして私がその事を知っているか不思議ですか?
 実は、メリビアに買い出しに来たロンファさんに偶然会った時に、ヒイロさんが青き星に渡った事、そこでルーシアさんという方と暮らしている事を教えてもらいました。
 その時ロンファさんが、「詳しい事はこいつを読めば分かる」とおっしゃり、ヒイロさんの日記を渡してくれました。だけど中身は読んでいません。それって失礼な事ですものね、本当ですよ。その代わり、ヒイロさんへのお手紙として、日記を使わせてもらっています。それくらいはかまわないですよね?
 ところでヒイロさん、ルーシアさんって一体どんな方なのですか。素敵な方ですか。ヒイロさんが青き星まで遭いにいった方ですもの、きっとととっても素敵な方なのでしょうね。 私も早くルーシアさんにも負けないぐらい素敵になりたいなあ。そしてヒイロさんをびっくりさせるの、その時を楽しみに待っていて下さいね。
 あっそうそう、私の事も書いておきますね。私はあれからお父さんと一緒にメリビアに帰りました。私が壊してしまったメリビアの街も今ではすっかり元通りになり、叔父さんや叔母さんとそしてお父さんの四人で、新しく建て直した叔父さんの家で暮らしています。
 今度、お父さんと二人でお母さんのお墓参りに行こうと思っています。
 きっと村の人たちは魔族の血を引く私を歓迎しないと思います。それでも、ほんの少しだけでもいいから、お互いに歩み寄れたらと思っています。ほんの小さな一歩でも、積み重ねていけばいつかはきっとお互いに心を開き合える日が来ると信じています。そうですよね? だからヒイロさん、青き星から応援して下さいね。
 また機会があったらお手紙書きます。
 アリス・ランプリングより
 P.S
  いつかヒイロさん達の所へ遊びに行ってみたいと思います。その時は、ヒイロさんとルーシアさんの子供に会わせて下さいね。

  

仮面の白騎士(瑞城 遼)
 □月▲日 快晴
 はぁ・・・。(何やら難しい顔をして溜め息をついたと想像して下さい)
 先日、赤竜のルビィが青き星より持ち帰ったヒイロとルーシアの「交換日記」というものが再び、私の手元に戻ってきた・・・。はぁ・・・。
 「交換日記」は数人の手によって様々な所へと回され、様々な扱いを受けた模様。
 あー・・・、その。だから、つまり、だな。うん。
 (何やら非常に困った顔で言いにくそうにしているところを想像して下さい)
 すまぬっ! ヒイロっ!! そのっ!
 に、日記が・・・あ、いや、その、無くなったわけではないのだがっ!!
 (脂汗がタラタラと流れる)
 日記の・・・後ろ半分が・・・その、
 破けてしまったのだっ・・・!
 ・・・ま、まぁ、その、不幸中の幸いというか、皆が書き込んだ部分は無事だったのだが・・・。その、続けてこの日記に書き込むことは困難と思われる。続きは新しい日記でお願いする。以上っ! さらばっ! は、ははははははっ! ・・・はぁ・・・。
 注:断じて、断じて私が破ったわけではないぞ! ナルとルビィが、「最後にもう一回書くのは自分だっ!」と日記を引っ張り合ったせいであって、断じて星竜の試練で破損したわけではないぞっ!
 (・・・どうやら困ったナルとルビィに頼まれたようですね・・・)

  

ヒイロ(瑞城 遼)
 日記□月▲日快晴(でも気分的にはちょっと曇り)
 今日、仮面の白騎士が来て行方不明になっていた日記を持ってきてくれた。・・・くれたんだけど。・・・はぁ・・・。
 表紙も中も結構ボロボロで・・・。とてもアノ日記と同じ物とは思えない・・・。
 後ろ半分は無くなってるし(汗)。
 ・・・でも、久しぶりにみんなのことがよくわかって楽しいかナ(笑)。
 ルーシアに読ませたら、こっちの日記は本棚にしまっておいて、今度からはまた別の日記をつけようと思う。

  

ヒイロ(岸川)
 ヒイロの日記 ●月◎日 流星が降ってきたと思ったら…
 今日、空を見上げると空の模様が一瞬、歪んだと思ったら、その場所から流れ星が降ってきたんだ。見ていると、どんどん大きくなってきたので何事かと思ったら、それは大きな鳥の姿をしていた。いや、大昔の文献にのっていた「飛行機」というものかもしれない。
 「それ」は僕たちのいる遺跡に降り立つと、何と鉄の巨人へと姿を変えて遺跡を壊そうとし始めたんだ。(その巨人には背中に翼のような飾りをつけていたので以降は「ウイング」と呼ぶ事にする)
 哲人二十八号たちガーディアンが遺跡を守ろうと頑張っていたけど、ウイングは大きな「銃」に似た棒杖から「光」を発したんだ。
 するとガーディアン達はひとたまりもなく壊されていく。
 何とかして止めさせようとウイングにつかまって話し掛けると中から人が出てきた。
 ちょっと目付きの悪い少年だった。
 その時ちょうど僕を心配したルーシアが現れて僕の名前を呼ぶとその少年は驚いた顔をして僕を突き飛ばしてウイングを鳥の形に変形させて飛び立っていった。
 あとでルーシアに聞いた話だと遺跡にある装置が故障して(次元なんとかっていう装置らしい)全然別の世界からやってきたのだそうだ。
 装置は修理したのでウイングと彼は元の世界に戻ったそうだけど…
 なんであの時驚いていたんだろう?
 ルーシア(岸川)
 ●月◎日 次元の乱れあり
 今日、遺跡の点検をしている際、誤って次元転移装置を作動させてしまう。
 結果としては異世界のガーディアンを召喚してしまい、哲人二十八号たちに多大な被害が及ぶ。
 幸い機能中枢に問題はないので修復は可能な模様。
 そのことに私とヒイロは安心する。
 何故なら彼らもヒイロと私の大切な「家族」だから。
 でも、問題が一つ残っているわ、ヒイロ。
 この装置がいちど作動するとしばらく時空が不安定になるの。
 具体的に言うと何もない所から急に何かが現れたり、何かがなくなったりするの。
 そういえば、最近も私たちの日記がなくなったし…、
 時間をさかのぼって影響しているとしたら大変だわ。

  

ヒイロ(細江)
 ▽月×日
 深夜、用をたしに起きたとき、夜空のルナに誘われて、深夜の散歩に出かける。
 すると、歌声が聞こえた。
 透き通るような、まるでルナの輝きのようなその歌に導かれて、ルーシアの花畑に入り込む。
 様々な色の花が、深夜だというのに咲き乱れ、ボクはむせるような甘い花の香りにつつまれ、夢を見ているような気分だった。
 花畑でルーシアが歌っていた。
 ・・・歌がとぎれたとき、ルナからの来客はいなかったから、ボクは当然ルーシアだと思い込んでいて、だからこう言ったんだ。
 「ルーシア、もう少し歌を聞かせてくれないかな?」
 そのとたん夢が覚めた。
 夢が覚めたみたいに、ボクは夜の花畑に、一人で立っていた。
 そして気がついたんだ。
 花が、咲き乱れていないことに。
 今まで聞いていたのが、ルーシアの歌じゃないことに。
 そして目の前にいた少女が、ルーシアじゃないことに。
 ルーシア。
 朝になってからやっと気がついたんだけど、あの少女は、ボクたちがルナで見た、あのアルテナ様の・・・、ルーナさんに、どことなく似ていたんだ。
 あの少女が歌っていた歌を、鮮明に覚えているんだ。
 夢じゃないと思う。
 それとも、夢を見たのかな?
 キミの言う、時空の乱れの影響なのかな?
 いずれにしろ、歌のプレゼントをボクは受け取った。
 ルーシア、今度一緒に歌ってくれないかな?
 夜の、花畑で。

  

ルーシア(ねこまた)
 ○月○日 大切なこと
 今日、神殿の地下から私を呼ぶ声が聞こえたの。
 懐かしい声で、わたしはいつのまにか昔の青き星のことを考えていたの。
 誰の声か分からないけど、とても懐かしい・・・
 でも、思い出したの。その声の正体を。
 それは、私以外のもうひとりのこの青き星を見守る者の声・・・
 ・・・正確には「者」というより「モノ」だけど・・・
 でも「彼女」は人間よりも人間らしい「モノ」なの・・・
 彼女が私を呼ぶということは、とうとうこの青き星が本格的に再生し始めるという
 ことだわ・・・
 でも彼女のことをすっかり忘れてるなんて、わたし、青き星を司る者として
 失格ね・・・

  

ヒイロ(竜栄)
 ▲月★日 今日はすこぶるいい天気だった。
 せっかくだからと、ルーシアを誘っての散歩中、空から人が降ってきた。
 青い帽子をかぶった少年が光の翼を持つ少女に抱えられて僕たちの目の前に降りてきたんだ。
 少年は普通の人間だそうだが、少女は光翼人という種族らしい。
 彼らとはすぐに打ち解けて、たくさんの冒険の話を聞かせて貰った。
 とってもおししいお弁当もいただいた。
 僕の以外の手料理はひさしぶりだったのでことさらおいしく感じる。
 後でレシピを教えてもらおう。
 話の途中で少女の魔法を見せて貰ったんだけどホントに凄かった。
 レミーナがいたらきっと、いや絶対魔法ギルドに入れとかうるさかっただろう。
 もちろん入会金はただで。
 え~っと、それで一番気になったのが、なんというか二人の雰囲気。
 うらやましいなぁ。
 ルーシアはどう思ったのか気になったりして・・・

  

ヒイロ(コロンボ・メグミ)
 ●月×日 ラクラルの村
 今日は、ルーシアと、青き星から帰ってきて、みんなの顔を見にきた。
 みんな、元気にしているだろうか。ラクラルの村、ロンファを尋ねて見た。ロンファは、相変わらずだった、マウりは、おなかが目立ってきていた。
 この状態で、レオが帰ってきていないのが不思議だ。聞いてみると、
 「仮面の白騎士のほうはもう戻ってきたから、もうすぐ姿を見せるだろ」
 とのことらしい。
 また、レオが帰ってきたときに、またラクラルの村を訪れたい。

  

ヒイロ(コロンボ・メグミ)
 ●月×日 ヴェ-ンにて
 今度はヴェ-ンへやってきた。
 レミーナがこちらに駆けてくる。そして、足元の石につまずいて転んだ。
 開口いちばんこう言った。
 「やっと、ルーシアさん魔法ギルドの会員になってくれるためにきてくれたのねー!? 名誉会員でも良いのよ!!」
 と。彼女も全然変わっていない。ルーシアはなぜか、書類にサインをしてしまった。レミーナはホクホク顔だった。元気そうで、よかった。

  

ヒイロ(コロンボ・メグミ)
 @月*日 晴れ
 今日は、久しぶりに、ルーシアと散歩へ出た。
 とても晴れていて、良い気持ちだ。そこで、ルーシアお手製の、お弁当を持ってピクニックに出掛けた。
 すると、ルーシアが、言った。
 「とても、青空が・・・・きれいね、ヒイロ。そうは思わない??」
 お弁当をぱくついていた僕は、びっくりした。
 ルーシアは今までよりも、もっと、成長してるんだな、って。
 僕はお弁当がおいしくて、それどころじゃなかった。
 「この当たり前が、当たり前にならなくなって、しまいたく、ないわね・・・・」
 過去の記憶。僕は、これからも、ルーシアを、守っていくよ・・・・。

  

ヒイロ(細江)
 &月●日(晴)ヒイロ
 ルナの思い出の地を旅している途中のボクたちの所に、ルビィがやってきた。
 ボクたちをずいぶん探したらしい。
 ヴェンじいちゃんが、危篤だというのだ。
 もちろんすぐさま、ルーシアの魔法で駆けつける。
 すでにロンファとナルが、付き添ってくれていた。
 ルーシアは、彼女の魔法ならヴェンじいちゃんを死なせないことができるけれども、それは自然の理に逆らうことだと言う。
 そしてじいちゃんもまた、魔法による延命は、望まなかった。
 魂が青き星で憩うならば、これからはずっと、ボクたちと一緒なのだと言った。
 ボクは、泣いた。
 ルビィも、泣いた。
 ルーシアとナルは、寂しそうな顔をしていた。
 サイラン砂漠は、今や水を取り戻し、草原へと変わりつつある。
 ボクはじいちゃんの遺言通り、じいちゃんのなきがらを、草原に埋めた。

  

ヒイロ(コロンボ・メグミ)
 ●月×日 グェンじいちゃんのいないルナ。ルナは今日も、雨だった。
 じいちゃん・・・・・・・・・。
 もうじいちゃんが居ない。居ない。居ない。
 僕の心をあらわしているかのように、雨が降る。
 グェンじいちゃんの居ない、家。何かからっぽなような気がしてならない。
 また泣いてしまった。
 僕を、子供のころから育ててくれたじいちゃん。
 そこへ、ルーシアがやってきた。
 「ヒイロ・・・・・・彼が、生まれ変わって、私たちに逢いに来るまで、待ちましょう? ・・・・ね??」
 僕は、彼女の、言わんとしていることが、わかった。
 そうだ、永遠の別れではない。
 そうだ。
 そうだ・・・・。
 自分に言い聞かせる。
 「また、逢える日まで!!・・・」
 口に出してみる。
 ルーシアも、微笑んでくれた。
 僕は・・・・・僕は・・・・・・・・・・。
 じいちゃん。
 僕は待っているよ・・・・・・・。

  

ヒイロ(コロンボ・メグミ)
 !月?日 晴天
 僕は、グェンじいちゃんのものを、何か持って旅に出たかった。
 もう、僕のなかでふっきれたような気がした。
 悲しい。
 とても悲しい。
 それだけは拭い切れない心だ。
 その心をかみしめて。
 今まで、じいちゃんが集めていた考古学の知識の詰まった思いでのある地下室へ、足は向かっていた。
 ぽつり、と置いてあるひとつのペンダントを見つけた。
 「!! これは・・・・・・・・・・・・」
 昔、じいちゃんが遺跡から見つけてきて、僕が羨ましがっていた赤龍のペンダントだった。
 その下には一枚の手紙がひいてあった。
 その内容は、こうだ。
 「ヒイロ、お前がこれを見るころには、ワシは生きていないだろう。
 わしの遺志を引き継いでおくれ。
 お前が寂しくならないように、これを、置いていこう。
 ずっとルーシアを守れ。幸せになれ。
 ワシは、ずっと、お前たちのことを見守っておる。
 また逢おう」
 嬉しかった。
 これから、旅に出よう。
 グェンじいちゃんを、探しながら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

  

ヒイロ(伊武)
 $月*日 晴れ
 今日僕は久しぶりにジーンの踊りを見に行った
 なぜだか、ココに来るとあの仮面の白騎士に会えるような気がしたからなんだ。
 あ、もちろん困ればよかったんだけど。
 どうしてもルビィが一緒に行きたいって言うから来たんだ
 実は、青き星に忘れ物をしてきてしまって
 前からルーシアにわたそうとしていただんけど
 なかなか渡せなくて
 二りっきりになったら渡せると思ってたけどなかなか渡せなくて
 大事な物だから仮面の白騎士さんに頼もうと思ったんだけど
 そしたら来たのは、仮面の赤神官さんで
 しかもお腹が膨れていてうーん困ったなってかんじで
 思っていたら
 さらに白騎士までやってきてなぜか兄弟喧嘩を始めるし
 そうそう、ロンファの子供の話が途中になっちゃてるんだけど
 ロンファの子供の名前はリリスとファーンに決まったそうです
 しかし、そんなことを言ってるあいだにもう実は
 3人目の子供がお腹の中にいるとは
 いや、もしかしたら実は4人目もいたりして
 僕もルーシアとのあいだに・・・・・・
 まだ早いかな?
 ルーシアにも良い子を授かりますように

  

ヒイロ(コロンボ・メグミ)
 ●月×日 青き星で・・・・・・
 今日は、青き星の様子を見に戻った。
 緑に満ち溢れ、小川がせせらぎ、何一つ変わっていない。
 その夜。僕はじいちゃんのために、
 じいちゃんが好きだったアルテナ様の歌を、
 オカリナで吹いた。
 ルナを眺めながら・・・・・・・・・・・・・・。

  

ヒイロ(コロンボ・メグミ)
 O月¥日 晴
 今日は、久しぶりに、またラクラルの村を訪れた。
 早速ロンファの家に向かう。
 レオは帰ってきていた。よほど可愛いのだろう。ずっと子供たちの世話をしている。
 ロンファとマウりの子供、リリスとファーンもすくすく成長している姿を見せてくれた。
 次の子供はの名前は、女の子だったら、マリエ、男の子だったら、マーティにするらしい。
 レオ命名だ。
 二人もこの名を気に入ったらしい。
 よかった。
 只、毎日急用ができて姿をくらますレオとは、またどこか出会うことも、あるだろう。

  

ヒイロ(コロンボ・メグミ)
 ●月×日 キカイ山
 キカイ山へ、ルビィとナル、子供たちのようすを見に行った。
 ルーシアには、子供たちが「お母さん」と言いながら寄ってくる。
 ルーシアも、子供たちもうれしそうだ。
 ナルとルビィも喧嘩しながらも仲良くやっているようだ。
 前に、仮面の白騎士がやってきたらしい。
 ルビィがまずいスパゲティーを食べさせられたとぼやいている。
 レオは何がしたかったんだろう・・・・・・・。
 たまには、のどかで良い。

  

ヒイロ(コロンボ・メグミ)
 ●月×日 ロンファとマウリ
 いきなり、仮面の白騎士が現れた。
 「ヒイロ!! 久しぶりだな!!」
 「・・・・久しぶりもなにも、この前ラクラルの村に行ったよ・・・・レオ」
 「だから、私はレオで無いというに!!」
 「・・・・そうだね・・・・・・」
 「ところでマウりとロンファの子供がうまれたぞ、男の子だから、名前はマーティだ。合いに行ってやってくれ。私が名をつけたのだ」
 「そう言えば、レオが言ってたね。前に」
 「・・・・・私はレオではない!!! さらばだ!! はははははははははは!!」と、ぼろを出しまくりの仮面の白騎士であった。
 でも、無事に産まれたようなのでよかった。
 今度、会いに行こう。

  

ヒイロ(コロンボ・メグミ)
 ●月×日 日記
 今日は、日記を読み返してみた。ずいぶん書いたな。

  

ヒイロ(岸川)
 ●月×日
 ちょっと前の回想この前、ナルのいるキカイ山へ遊びにいったときの事
 子供たちの顔ぶれは大人になって山を下りた子もいたり、新しく増えた子もいて、少しはかわっていたけれどみんな元気そうだったなあ。
 ルーシア母さんはどうしたの? と聞いてくる子がいたので、ルーシアは蒼き星に新たに生まれ育つすべての命のために元気で頑張っているよ、とこたえたら、ルーシアに子供ができたのと勘違いされちゃった。
 …そりゃ、まあ、いつかは…。
 ……と、ところでナルから譲り受けたこのアルテナの剣とても役に立っているよ、
 とお礼を言ったら何故かナルがカンカンに怒り出したんだ。
 せっかく畑仕事にも役に立つってことを教えてあげたのに。

  

ナル(岸川)
 月 日
 ヒイロのバッカヤローッッッッ!!!!!!!
 アルテナの剣を桑か鍬のように使ってんじゃねえ!
 その剣はな、その剣はなあ…
 アレスや、ルーナが…
 …………
 ………
 ……
 …まあ、いいか。
 その剣も、そんなのんきで平和な使い方をされる方が嬉しいのかも、知れないな。
 そうだろ、アレス、ルーナ

  

ルーシア(半蔵)
 ☆月◯日 雨
 この間、ルナにヒイロと一緒に行った時、グェンおじいさまに死期が訪れた。
 この世界で成すべきことが終わり、役目から解放されるのを見届ける時ヒイロが泣いた。
 ヒイロが泣くのを見たのはこれで二度目。
 一度目は私がこの蒼き星へひとり帰らねばならなかった時。
 それから、ヒイロはときどきルナに行ったり、いきなり元気にになったり、オカリナを吹いては溜め息をついたりしていた。
 夜中にヒイロが声を殺して泣いていた。
 ヒイロ。「さみしい」の?
 ヒイロはとても近くにいるのに、ヒイロの「さみしい」はわからない。
 私も咽になにかつまったようになって胸が痛くなってしまった、身体じゃないどこかが刺すように痛い。
 なにをしてあげたらわからなくて歌をうたってあげた。
 キカイ山で子供達に歌ってあげると、みんなが泣き止んだ子守歌。
 赤ちゃんにしてあげたように抱いて歌ってあげたら、いきなり反対に抱きしめられてしまった。
 しばらくそのまま、ヒイロは泣いてた。
 私はそっとヒイロの耳もとでうたを歌った。
 ヒイロの胸はあたたかかった。私はなんだか安心してしまって胸が痛くなるかわりになんだか苦しくなった。嫌な苦しさじゃなくて、なんだかもどかしいような苦しさ。
 そして、ヒイロは正気に戻ったようになると私の顔を見て赤くなって「ありがとう、ルーシア」と小さい声で言ってくれて。
 そして、涙をぬぐってくれた。
 私、涙が出ていた。
 ヒイロのあたたかさとグェンおじいさまの冷たくなったこと。
 なくなる、消えてしまう? 人が死ぬってこういうことなの?
 私はヒイロがつめたくなって動かなくなったらどうなるのかしら・・・。
 ヒイロの気持ちがなんとなくわかったような気がする。
 「哀しい」と「さみしい」
 でもこの蒼き星が再びよみがえりはじめたように、きっと新しい命の息吹きもどこかで始まる。
 新しい命。
 そうだ、人間をつくらなきゃ。ひとりでさみしい人が二度とでないよう。
 ルナで出会った、人と人が心を通わす不思議なあたたかい力。
 どうすればいいのかしら? 遺跡でしらべようかしら?
 ヒイロに聞いたら赤くなって、僕達にはまだ早いからと言ってたけど。
 そうだ、マウリさん。マウリさんに聞けばいいのかしら? 

  

ナル(コロンボ・メグミ)
 ●月×日 アルテナの鍬
 この前、ヒイロたちが来たときに、アルテナの剣を久しぶりに見たぜ。
 そうしたら、鍬代わりにしてるって、話はきいたよな。
 まあそこまでは許せるが、
 手入れぐらいしろっ!!
 バッキャロー‐‐‐‐っつ!!!

  

ヒイロ(岸川)
 ●月×日
 今日も元気に今日も蒼き星は天気がいい。
 僕もこれに負けないように元気を出さなきゃ。
 最近は気候も安定してきたし、植物の苗もルーシアが歌うようになってから心なしか成長が早くなった気がするし。
 それに何よりいろんな人たちがお客さんとしてやってくるようになったし。
 もうそろそろかな?
 今度星竜にも相談して希望する人が蒼き星で生活できるように開拓村のようなものをつくってみようかな? 

  

ルーシア(岸川)
 ●月×日 心の中は…
 「蒼き星に新しく人を呼ぶ」
 この提案をヒイロからされたとき私の心には混沌としたものが占めていた。
 占めていた思考は以下のようなものだった。
 「ヒイロは私と二人きりなのが嫌なの?」
 もちろん、ヒイロは私の事を一番大事に思ってくれている、それには疑いない、
 私もヒイロがいるから今ここに存在している。
 そして…
 蒼き星の再生が私の願いである事も違いはないし、
 ヒイロの言うように
 仲間や多くの人々の、人間の力を借りる事がそのための近道である事も私は学んだはず。
 だのに…
 どうして私の心はこうも揺れるの…

  

ヒイロ(岸川)
 ●月×日 嵐の前触れ
 今日はルーシアが倒れていた。
 そういえば最近、植物の成長のためにずっと歌い詰めだったっけ。
 ルーシアの歌は魔法力が込められているからずっと無理して魔法力を使いつづけた結果だろうか。
 くそっ、僕がルーシアの事、きちんと見ていてあげていれば…
 僕はルーシアの力になるためにこの蒼き星にやってきたはずじゃないか、
 それなのに、僕は何かの役に立っていたのか。
 レオの大地の魔法があれば大地を耕す事は簡単にできたはず、
 レミーナの氷と炎の魔法があれば今だ残っている氷を溶かす事もできたはず、
 けど、僕の力は…。
 結局ルーシアに負担をかけさせただけじゃないのか?
 いや、僕が今弱気になるわけにはいかない。
 ルーシアのためにも、今育っている植物の苗だけは確実に根づかせないと。
 ルーシア、心配しないで、僕だけでも大丈夫だって所を見せてあげるから。

  

ヒイロ(岸川)
 ●月×日 嵐、そして…
 ルーシアが倒れた次の日、予想通りこの星を寒波が襲ってきた。
 僕が自分に課した役割は今、僕たちの畑に根づこうとしている花の苗を守る事、
 僕が魔法で風の結界を張れば全力なら遺跡全体を守る事もできるはず。
 問題は魔法力を全開にしてどのくらい持つか…、
 いや、大丈夫。
 魔法力の真の力を僕らは知っている。
 諦める事はない。
 北から吹く強い風は容赦なく僕たちの遺跡に襲い掛かる。
 僕も何度も集中が途切れそうになる。
 その旅に僕を支えてくれたのは…
 仲間たちの顔、
 グェン爺ちゃんやルビィの懐かしい声
 そして、
 「どうした、ヒイロッ! お前の力はこの程度かっ!」
 ガレオンの一喝が僕の意識をとどめてくれる。
 それでも限界を超えそうなとき…
 僕は誰のために強くなりたいのか、それを考える。
 そう、僕が力を使うのは彼女のためだ。
 「ルーシア…」
 彼女の名前をつぶやく事で体が温かくなってきた気がする。
 大丈夫、まだ、頑張れる。
 そう思ったとき、
 「ヒイロ!」
 ルーシアの声が聞こえた気がしたとき僕の意識が途切れた。
 気がついたとき、僕の目の前には目に涙を浮かべたルーシアの顔があった。
 彼女が目が覚めたおかげで嵐は止み、
 そして僕は限界以上に力を使って気を失ったというわけだ。
 膝枕の姿勢になっていたのでちょっと照れくさかったけど、
 今はそれが心地よかった。
 「無理はしないで、ヒイロ」
 やさしく僕を包むような声で彼女が言う。
 「うん」
 僕はそう答えるともう一度眠りについた。
 彼女の子守唄に抱かれながら。